今日のブロガーのトピは消費税関連で集中すると思いますのでそちらのほうは敢えて外させていただき、案外目立っていませんがかなり心配な状況になっているヤフー子会社のファーストサーバのデータ消失問題について考えたいと思います。
ファーストサーバは安定したクラウドサービスのプロバイダーとして広く知られており顧客数も5万件以上で上場企業や官公庁から中小企業、個人まで取り込んでいました。ところが、その更新プログラムにバグがあり、それに気がつかず起動させたため初期化をしなくていけない状況に陥り、5万の顧客のうち現状約5700件のデータが消失してしまったのです。
では何故ファーストサーバに普通ならあると思われるバックアップがないかといえばそれは「安い価格勝負だった」というのが真相のようです。
顧客は自分でバックアップを持っていればどうにか復旧作業に取り掛かれますが、それすらもっていないところはもはや「何から手をつけていいかわからない」状態になっているようです。
私もこの事件を4~5日前に初めて耳にした時そんなことが起こりえるのか、と耳を疑ったとともに「絶対にあってはならない事故」であり、最大限の対処が求められるところです。
実は私も今、データのクラウドへの移行をかなり進めています。理由は自分のパソコンにデータを持つことにリスクが多すぎること、それはウィルスやコンピュータそのものの故障、更には使用するコンピューターが複数台になりデータの管理上、どのパソコンに入れたかわからなくなったりすることを防ぐなどが上げられます。
ただ、クラウドのコンセプトもここ数年急速に普及してきたもののまだ「試練」を経験していないため全幅の信頼を置くにはちょっと心配なこともあり、私は今はまだバックアップを取っている状況です。しかし、私のように手間暇かけてバックアップを取るというのはほとんどの人に現実的ではないし、では、どの頻度でバックアップを取るのかという問題も生じます。
クラウドの利点はデータが一生残り、許可された人なら誰でもアクセスできるメリットがあり、例えば将来的には遺言や残された家族への備忘録に使えるのではないかと思っています。変な話ですが、家族の人が亡くなった場合、残された家族にとって何が困るかと言うと通帳や生命保険、更にはへそくりから借金まで何処に何があったかさっぱりわからなくなるのです。が、故人が元気なうちにクラウドにデータさえ残しておいてくれれば困らないということはいくらでもあると思うのです。
私はクラウドの普及にそんな使い方も眼中に置いていたわけですから「安いからバックアップはありません」は済まされないと思っています。つまり、そんなビジネスを許してはいけないということです。バックアップを取っていなかった顧客が悪いという言い分はクラウドのリライアビリティが十分でないと否定するものであり、それを正々堂々と開き直られては何を信用してよいか分からないというものです。
AIJの消えた年金事件もそうですが、「人は無知であり無防備である」という前提に立ったビジネスを構築すべきであり、価格に左右されるものであってはいけないと思います。
今日はこのぐらいにしておきましょう。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年6月27日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。