日本再生戦略(案)における電子政府の扱い

山田 肇

昨7月11日に国家戦略会議が開催され、『日本再生戦略(案)』が配布された。「科学技術イノベーション・情報通信戦略」の節(31ページ)には電子政府に関する記述がある。

国民ID制度やオープンガバメントの推進を始め、行政、医療、教育等の幅広い分野で情報通信技術の利活用に取り組む。「電子行政オープンデータ戦略」の実行、情報通信技術の進展に伴い収集等が可能となった多種多量データ(ビッグデータ)の利活用や情報通信技術を活用した異分野融合等、官民が保有するデータの利活用促進を図るとともに、「周波数オークション制度」の実施等を通じた更なる電波の有効利用促進を図る。


オープンガバメントは是非推進すべきだが、これについてもビッグデータの利活用についても個人情報保護法改正などの制度改革が前提になる。周波数オークションではプラチナバンドは恣意的な配分を終えており実効は期待できない。オープンガバメントは、オークションの轍を踏まないよう、真っ先に制度改革から取り組んでほしい。

戦略(案)は2015年度の中間目標として「電子政府発展指数(国連)のオンラインサービスの範囲・品質に係る部分のランキングについてTOP5以内」を掲げている。2012年版で、日本は総合指数で第18位である。総合指数は、オンラインサービス指数(日本は11位)、通信インフラ指数(34位)と人的資源指数(36位)から計算される。このほかに総合指数を補完する電子参加指数(11位)がある。

戦略(案)で総合指数を目標にしなかった意図はどこにあるのだろうか???

情報通信政策フォーラム電子行政研究会では、国民ID制度の一環と位置付けられる、企業コードの活用についてワークショップを7月27日午後に開催する。次のテーマとして、国連指数の問題を取り上げることも相談したい。

山田肇 -東洋大学経済学部-