家電量販店の凋落

山口 巌

朝日新聞の伝える所では、家電、ネット最安時代 崩れる量販店の「最低価格保証」との事である。

「他店より1円でも安く」がモットーの家電量販店。でも、最近はインターネットの通販サイトの方が安い商品も増えてきた。ネットも「他店」になるの?

家電量販の今日の隆盛を構築するに至った背景は、無論家電商品の品質が向上し、修理を依頼する機会が減ったと言う事もあろうが、昔は街の商店街に必ずあった「街の電気屋さん」よりも遥かに廉価に販売したと言う事が大きい筈である。

別の表現をすれば、「販売価格」こそが家電量販店の最大の武器であり、存在意義と言う事になる。

しかしながら、嘗て安値を武器に片っ端から顧客を「街の電気屋さん」から強奪したのと同様に、今回はネットに奪われそうな状況である。

考えてみれば当然の話である。ネットであれば「店舗」に係る一斎の経費が不要であり、とてもリアルな店舗が競合出来るとは思えない。しかも、「販売価格」一本槍で勝負して来た家電量販であれば、きめ細かな顧客サービス等望むべくもない。指を咥え、ネットの蹂躙を傍観するしかないのであろう。

業界最大手、ヤマダ電機のIRの示すものは、家電量販店冬の時代を一気に通り越し、家電量販店ツンドラの時代とも言うべきものである。

4月に6店舗、5月に4店舗、6月に6店舗を新規に開設し、閉店は4月の1店舗のみと言うのに、売り上げは前年同月比グループ全店ベースで、4月88.3%、5月76.2%、6月67.6%と大きく落ち込んでいる。

月を追う毎に約10%づつ落ち込んで行くのも、まるで奈落の底まで落ちて行く様で実に不気味である。

このペースで落ち続ければ、年末には豪い事になってしまう。今日の様な週末には来店はあるのだろうが、平日は、広い店内に人影は疎らな状況になっているのではないか?

この状況を反映してか、同社の株価も綺麗な右肩下がりである

今回の家電量販店の凋落は、就活中の学生や転職を希望する会社員に極めて重要な示唆を与えていると思う。

それは、露骨に言ってしまえば、ネットに取って代られる業界に行っては駄目だと言う事である

例え一部上場企業であり、売り上げが一兆円を超えていようと、所詮張りぼての如く実態がなく、あっと言う間に淘汰される可能性が高いと言う事である。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役