韓国李明博大統領による竹島上陸と香港民間団体による尖閣上陸の背景

山口 巌

毎日新聞の伝える所では、<国会>韓国大統領発言、尖閣上陸で非難決議へ 民自公調整との事である。

民主、自民、公明3党は16日、韓国の李明博大統領による竹島(島根県)上陸や天皇陛下への謝罪要求、香港の民間団体による尖閣諸島(沖縄県石垣市)上陸を問題視し、非難する国会決議の検討に入った。来週中にも衆参両院で非難決議が採決される見通し。政府・民主党は20日昼に三役会議を開いて決議内容を協議し、野党側と調整する方針だ


これは朗報である。本来、「安全保障」、取分け「外交」に就いては党派を越え、国家として一枚岩になるべきと思う。今回の、韓国李明博大統領による竹島上陸と香港民間団体による尖閣上陸を切っ掛けに、「雨降って地固まる」の如く、安全保障、外交に於ける国家体制の確立を望みたい。

その際、重要なのは問題の現象面のみに捉われ、応急処置に終始しない事である。竹島と尖閣と言う二つの日本固有の領土への上陸の背景を分析する必要がある。

先ず、李明博大統領による竹島上陸であるが、この件は、大統領の資質と個人的事情に拠る所が大きい。そして、今回の暴挙もある程度は想定の範囲内であった。

李明博大統領の任期は間もなく終了する。そして、韓国の特質は歴代大統領の末路が このブログが説明する通り、亡命、殺害、自殺、裁判の結果有罪となり投獄等、実に悲惨な事である。

李明博大統領の前任者は盧武鉉氏であるが、不正献金疑惑に依り厳しい取り調べを受け、自宅裏山で投身自殺している。

そこで気になるのは、李明博大統領の今後であるが、李大統領 実兄逮捕などで国民に対し謝罪を読む限り、先輩大統領達の路線を突き進む事はほぼ既定事実である。

韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は24日、政治資金法違反などの容疑で実兄や側近が検察に相次いで逮捕されたことについて「芳しくない事が起き、大きな心配をおかけした」と、国民に対し謝罪した。青瓦台(大統領府)の会見場に姿を見せた李大統領は疲れたような表情で談話文を読み上げ、最後は自らに活を入れるかのように「『死して後やむ』の覚悟でやっていく」と語った。

盧武鉉前大統領を過酷な取り調べで自殺に追い込んだのは、李明博大統領と言われている。何分、恨100年とも、恨500年とも言われる韓国のお国柄である。

嘗ての盧武鉉前大統領支持者達は、大統領職を離れた李明博氏への徹底した追及を、新たな大統領に要求し、盧武鉉前大統領支持者層の取り込みを狙い、新大統領は李明博氏に厳しく接するに違いない。

私は、慰安婦問題での日本追及や今回の竹島上陸の背後にあるものは、李明博大統領が「反日の闘士」とて、国民の愛国心を掻き立て、国民の心の琴線に触れる事で保身を図っているからだと推測している。

そして、その背景にあるのは、韓国が日本への挑発を止めないのは何故か?で説明した通り、韓国人の行動様式に今尚深い影響を与えている「儒教」と「儒教」から来る華夷秩序の思想である。

華夷秩序に依れば韓国が小中華の中心であり、日本等は本来野蛮な東夷に過ぎない。しかるに、38年間この日本に植民地として支配され、戦後も日本の後塵を拝し続けている。

ここに、韓国人の日本や日本人に対する屈折した感情があり、「怨嗟」、「嫉妬」、「憎しみ」は、まるで地下のマグマの如く沸騰している。

為政者はこれを操り、時には自身の人気取りに利用し、時には分散した国論を一つに集約するのに利用し、或いは、保身に利用した。過激な反日デモの背景はここにある。日本に取っては本当に傍迷惑な話である。

一方、香港民間団体による尖閣上陸は背後に中国政府が蠢いているのは確実としても、大分事情は異なる様に思う。

領土拡大の野心を露わにする遅れて来た大国、中国で説明した通り、領土、領海の拡大と資源獲得は最早中国の国是であり、隠そうともしていない。

飽く迄、今回のBBCの記事を読んだ上での印象であるが、中国は早々に紛争地域である、西沙諸島、中沙諸島そして、南沙諸島に行政組織を置き、次いで軍の駐屯を展開し実行支配する積りと推測する。そして、先ずはこの南シナ海で実績を作り、次いで尖閣列島で同じ事をする積りなのであろう。狙いは領土の拡大に伴う地下資源の確保であったり、漁業権と言った現実的なご利益と推測する。

遅れて来た大国、中国は唯一の超大国アメリカと太平洋を介し対峙し、海軍力を強化した上で、領土、領海の拡大を狙っているのである。尖閣への侵略から実行支配もその一部であり、今回の香港民間団体による尖閣上陸は準備期間に於ける下工作の一つであると推測する。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役