予断を許さないイラン問題 --- 岡本 裕明

アゴラ編集部

イランのアハマディネジャド大統領が「イスラエルはいずれ消滅する」と発言していることに再び注目が集まりそうです。同大統領は国連総会の26日、ニューヨークで演説をするようですが、当然ながら540万人のユダヤ人を抱えるアメリカ本土でそのような発言をしたとなれば正にけんかを売りにいっているようなものです。


ユダヤ人と称される人はイスラエルに約550万、アメリカにそれより若干少ない約540万人が在住しこの両国で全ユダヤ人1300万人強の85%を占めるとされています。

ご承知の方も多いかもしれませんが、イランは核開発疑惑、更にはシリアのアサド政権に手を貸しているのでは、という疑惑で欧米諸国から強い非難を受けています。また、イスラエルとは歴史的な断絶関係にあります。

今年、ホルムズ海峡を封鎖するのでは、という噂で一時原油価格が急騰したこともありますが、その後、それはないだろうというアメリカの軍事専門家等のコメントが出たこともあり平静を保っています。ところが実際にはイスラエルのネタニヤフ首相は相当強硬な対イラン姿勢を取っており、最近では欧米の支援無しに単独での攻撃も示唆してきました。

私の友人であるユダヤ人と先日もこの件で話をしましたが、ユダヤ人の中でもネタニヤフ首相はちょっと変わり者という評もあるようで何をするかわかりにくいともコメントしていました。

イランとイスラエルの関係はまさに「喧嘩」状態ですが、イランはロシア、中国、そしてイスラエルはアメリカ、イギリスなどを味方につけていることから戦争を正当化する理由があれば何が起きるか想定しにくく、引き続き危険な状態が続き、来年は特に要注意ではないかと見ています。

ネタニヤフ首相としてはアメリカの大統領選挙の結果が大いに気になるところで仮に共和党のロムニー氏が大統領になれば強気の姿勢となる可能性は大いにあるかと思います。一方、オバマ氏ならば疑問符がつきます。事実、現在ニューヨーク入りしているネタニヤフ首相はオバマ大統領と会談の予定はないようです。不思議なようですが、ユダヤ票を取り込みたいオバマ大統領もイランのアハマディネジャド大統領に遠慮をしているようにも見えます。この辺りはオバマ大統領らしいともいえるかもしれませんが。

折りしもQE3で市場に資金は潤沢に滞留しています。商品相場が急騰しやすい環境にありちょっとした事象でも大きな反応を示す可能性がある市場に来年早々、爆弾が落ちなければよいと思っております。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年9月26日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。