「口先」デモでは、日本は変わらない ― 原発反対デモで感じた事。

北村 隆司

「原発反対」デモの要求が通り、即時に原発を廃止するとすれば、日本にとっては取り返しのつかない結果を呼びかねない重大問題であるのに、その結果に対する覚悟も対策も示さないデモは、信用出来ない。
誤解を避ける為に一言付け加えると、私は原発反対運動そのものより、デモのいい加減さを批判したいのである。


左翼と呼ばれる勢力の根底には、 専制政治や弱肉強食的な社会に対する抵抗がある為、労働条件の改善、社会保障、平和などを追求する傾向が強いが、原発デモはそれ程の体系的な目標も持たず、左翼と決め付ける訳には行かない。敢えて、左翼との共通点を探せば「口先」だけだと言う点だ。

又、シュプレヒコールと絵に描いた餅の様な提案以外は、実現可能な変革案の提案すらない事も左翼デモとの共通点だが、批判するばかりで自分の責任を明示しないデモは、戦前の革新官僚の様な国家統制を通じての革新を求める勢力ではないのか? とさえ疑いたくなる。

原発廃止に伴う経済混乱により大影響を受ける、福祉維持や経済成長を継続する裏づけも全く示されていない。これでは、下手をすると国家としての継続が困難になってしまう。

原発反対デモの主張が、何でも変えれば良いというような政治姿勢ではなく、原発廃止に伴って起こるに違いない多くの不都合を、自分達で負担すると言う決意を示せば、「デモ」の信用も増すであろう。

せめて、シュプレヒコールの中に :

  • 夏時間を即時採用せよ!
  • 雇用と経済を守る為に、発電経費の増加は産業には転嫁せず、俺達が全額負担するぞー!
  • エアコン代金には物品税をかけろ!
  • 円安が進んで輸入燃料が高騰しても、俺達が負担するぞー!
  • 地球温暖化対策は後回しにするぞー!
  • シーレーンにテロが発生しエネルギー源の供給が止まったら、我々は、穴居生活に戻る覚悟があるぞー!
  • 中国が南シナ海を制覇して、燃料費が高騰しても耐えるぞ!
  • シーレーンにテロや大事故が起きても、「想定外」だと言い訳しないぞー!
  • 車社会におさらばするぞー!
  • エネルギー供給が不安になったら、ハウス栽培をやめるぞ!

等の覚悟を加えたら如何なものか?

最も、こんな事をすれば、デモの信用度は増すにしても、元々、結果責任を負う気持ちの無い集団だけに、デモ参加者は激減するに違いない。

尖閣事件で日中両国の覚悟の違いがはっきりした様に、覚悟も無しに子供じみた反対運動でうつつを抜かす原発反対デモは、日本を変える処か、平和ボケ日本の象徴にすぎない。

2012年9月27日 北村隆司