日本の第3四半期である今年7月から9月のGDPが実質でマイナス0.9%となりました。年率換算でマイナス3.5%です。比較的大きな落ち込みですが、理由は外需が世界経済の低迷となり、輸出が伸びなかったこと、内需もエコカー減税の打ち切りなどで伸びなかったとされています。
正直、非常に弱々しい数字だと思います。目だった特殊要因による下落ではないことを考えれば今回のこの大幅なマイナス成長は相当真剣に向かい合わないといけません。
では10月から12月のGDPがどうなるか、ですが、多分、悪いはずです。理由は中国の需要減をもろに反映することになるからです。内需はタブレットコンピューターやウィンドウズの発売で多少の刺激があるので3期ぶりのプラスもありえなくはないのですが、全体ではマイナスになりやすい状況かと思います。となれば2四半期連続のマイナスになりますからいわゆる景気後退局面に入ったと判断される公算が出てきます。
ご承知のとおりアメリカも非常に厳しい状態になります。財政の崖に関して年内で切れる減税法案の切り替えには多少時間がかかるかもしれませんので消費の勢いが途切れないか心配されます。更に年明けには歳出削減が一気にきますのでこれが日本経済に当然ながら影響を及ぼしてくるはずです。
年末には日本では選挙が見込まれています。いよいよという感じですが、これが転機になるかどうか、よく見極めなくてはいけません。政治屋もポリシーより職業、とにかく当選することを何より優先しますから新首相は問題解決に翻弄され受動的政策が主体となりそうでどこまで期待してよいかわかりません。ただ、仮に自民が与党になり、安倍氏が首相になれば日銀の背中を押して更なる金融緩和を迫るかもしれません。ただ、政策でデフレ脱却が出来ないので日銀にその役割を押し付けているようなものでとてもずるいのですが。
みずほ総研では今年3月ごろに景気の変わり目に入ったと見ているようで7~9月のマイナス成長は予想通りながらも今回の景気低迷は短期で終わると見ています。私は内需は盛り上がる要因がなく、あくまでも外からの影響が主になるとみています。その際、上述のとおり、アメリカは財政の崖をどれぐらい上手に切り抜けられるか、それと中国の新体制がどのような経済政策を打ち立て、日中関係をどうしたいのかという方針次第だと思います。よってあまりにも大きな未知のファクターがあり、読みきれません。
ただ、基本的には主要国でトップ交代が相次いだ今年は選挙前に景気刺激策を出し切った形となりやすいですから来年前半はぐずつくのが妥当な読みではないでしょうか?私は知人にはこれから半年は締めてかからないと厳しい、と常々口にしております。少なくとも北米ではそういう空気だと思っています。
今日はこのぐらいにしておきましょう。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年11月14日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。