解散総選挙が現実のものとなります。
野田首相もうそつきではないと言い切った以上、解散理由はいろいろあろうかと思いますが、年内解散は大きな心の中の約束事だった思います。ただ、どちらかというと野田首相の決断は民主党の身内びいきではなく、野党との関係を考えての結果だったと考えています。解散を引き延ばしても勝てないことはわかっている民主党ですから自民や公明と仲良くして選挙で大敗した後の対策を考え、ここは仲良しになっておく必要があったということでしょう。
今回の選挙の注目点は民主党がどれぐらい議席数を減らすのかということと第三極と称する橋下陣営、石原陣営がどのような動きと議席数確保が出来るかということに絞り込まれると思います。そういえば、小沢一郎とそのチルドレンという政治団体もありましたが、話題にも上らなくなりつつあり弱体化は顕著なのでしょうか?
では第三極は大いに議席数を確保できるのか、といえば私はまぁまぁで結局こんなものか、という程度に収まると思っています。メディアでの話題をさらっていますし、橋下氏、石原氏の大阪、東京での手腕は実証済みだとしても国政はまったく違うのです。特に石原氏においては日中問題に火をつけた張本人という見方をする人もいるわけで中国事業で大きな損害や迷惑をこうむった国民は石原氏には逆風になるでしょう。
更には石原氏は原発問題には触れないということのようですが、結局、議席数を増やすために選挙の時はおいしいことを、いざ当選したら「あれっ?」ということになるのが常套ですからそのあたりも間引かなくてはいけません。
それといわゆる官僚対政治家の対決ですが、少なくとも今までは官僚を敵に回せば絶対にうまく回らないことなっています。政治家は車のドライバーですが、エンジンやブレーキといった重要な部分は官僚が抑えているとすれば官僚を敵に回すというのは車のエンジンをかけてもエンジンがかからない、ということと同じなのです。
だからけんかはやめよ、とはいいません。ですが、政治家は短期間で結論を出そうとしすぎるところに問題があります。勿論、与党としてどれだけ長く君臨できるかということはありますが格好をつけて「官僚を締め出す」といったおばかなことを高らかと謳いあげ、実行しようとしてもそんな正攻法ではだめなのです。
脱官僚を目指すなら国の仕組みそのものを変えていく必要があります。多分10年20年というスパンで計画しないと駄目ですが、それを遂行できるほどの安定した政治力が日本にあればそれこそむしろお手並み拝見、ということでしょう。
デフレ脱却のほうに関しては安倍氏は強い信念をもってそこに立ち向かおうとしております。どうやるのかこちらもじっくり見てみたいと思いますが、もしも日銀にプレッシャーをかけるならまず、日銀のインフレ恐怖症を封印すること、そして白川氏の後任にカリスマ的な総裁を持ってくることかと思います。白川氏には申し訳ないですが、エリートサラリーマンの粋を出ませんでした。私は武藤敏郎氏か勝栄二郎氏のような大物の次官経験者を持ってくるべきだと思っています。
結論的には自民党が与党になるのでしょう。政策的には民主党と似た部分も多いとは思いますが、少なくとも国民が聞く耳を持つという点が大いに違うと思っています。国民が納得するならば政策と運営はもう少し楽になるのではないでしょうか?
今日はこのぐらいにしておきましょう。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年11月15日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。