いよいよ総選挙が公示された。公示を前にして、多くの候補予定者が「公示前最後の書き込み」を行っているのを確認し、滑稽に感じるとともに暗澹たる気持ちになる。候補者だけならまだしも、政治系のブログを運営している者や、ふだん政治活動に携わっている者までもブログやSNSの更新を「停止宣言」する始末。ほとほと呆れる。
これまでも繰り返し主張してきたが、ネット選挙禁止というのは「一説」でしかない。司法の場で判断されていない以上、私の「ネット選挙合法説」と同じ価値しかない。そんなものを金科玉条のごとく有難がるのは奴隷根性ではないか?
私は検察にも明言したが、そもそも行政による「ネット選挙禁止説」の押し付けは憲法違反の疑いがある。日本国憲法第21条の規定は次の通り。「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」。言論の自由とは、この「表現の自由」の根幹をなすものだ。
公職選挙法は選挙における「言論」を規制しているが、その規制は目的(公正な選挙の実現)に照らして限定的なものだ。言論の自由はまさしく民主主義の根幹をなすものであって、これが「統制」される環境に民主主義は成立しない。そして憲法とは、政府を規制する「基本法」であるから、行政府がこれに違反することは厳しく戒められるべきことだ。
総務省は素直に、「ネット選挙が違法かどうかは自分たちが判断することではない」と宣言すべきだ。そうでないと、そのうち憲法違反で訴えられることになるかもしれない。
本山 貴春
特定非営利活動法人ディベイトジャパン
専務理事