今こそ学生は大企業を目指すべきだ

松本 孝行

12月から就職活動が事実上始まり、ナビサイトなども解禁されて慌ただしく学生は動き始めたようです。意識が高いと言われている学生はもっと早くから、早い人は大学一回生の頃から準備を始めている人もいるようです。

就職活動が始まってからというもの、有名人やキャリアコンサルタントなどが学生に就職活動のアドバイスをしています。中には「大企業は危ないからやめておけ」というものもあり、大企業よりも中小企業に入れというアドバイスをしている人たちもいます。

しかし学生は今こそ大企業を目指すべきだと私は思います。


どうも大企業よりも中小企業を勧める人たちには、中小企業への幻想があるような気がします。「なんでもやりたいことが出来る」「いろいろなことを任せてもらえる」「すぐに現場に出てスキルをつけられる」などと思っているんではないでしょうか。

全て間違いとは言いませんが、私が働いていた中小企業や知る限りの中小企業にはあまり当てはまらないと思いました。むしろオーナーの一存で全てが決まることが多く、現場の社員ががんじがらめになりやすいのが中小企業ではないかと思います。

私が一時期働いていた中小企業は年商で5億程度の会社です。売上高が5億ですが、最終利益は2%程度のおよそ1000万円だったかと思います。そこで私が担当していた仕事は既存客のフォローでした。毎日「ここ行ってきて」と言われて、売り場を整理するだけの誰でもできるような大したことのない仕事をしていました。スキルなんて全くと言っていいほどついていません。

加えて社長や親族の人たちの気まぐれによって給与やボーナスが決まる、ということもありました。例えばそれまでは「売上総利益の2割を歩合給にする」と決められていたのに、営業をかけなくても売れる大ヒット商品が出てくると、その口約束は一転して反故になりました。結果的にいつもと変わらない額の給料だったということもあります。こんなこと大企業ではありえないでしょう。

なぜ大企業はスキルがつかなくて、逆に中小企業ならスキルが付くというふうに誤解されているのかはわかりませんが、どちらも企業や業種や職種によってかなりの差があります。大企業でも商社ではかなりのことを1年目の時からやらせてもらいました。私が1年目から有名企業の役員と直に商談をして仕事が決められたのは、大企業商社だったからこそです。中小企業では絶対にできなかったことでしょう。

逆に中小企業だからって全てのことを任せてくれるわけではなく「余計なことはするな」と言われるところも多いのです。どうも「大企業はやめておけ」というアドバイスをする人たちには、中小企業への幻想があるような気がします。それに社長やオーナーの一存で方針が転換し、振り回されることになって精神的な負担は大きくなりがちです。報酬も大企業の方が多い傾向にあります。

日本では未だに新卒採用が中心ですし、それを外れると既卒では就職が難しいのはご承知の通りです。しかし中小企業は既卒も採用していると、キャリアコンサルタントの海老原嗣生さんはおっしゃっています。必ずしも同意はできませんが、あえて新卒の時点から中小企業を目指す必要はないと思います。チャンスがあるなら待遇も給与もいい大企業を目指すべきです。

まだまだ大企業は報酬も高いし、中小企業と比べて10倍も100倍も大きな仕事を任せてもらえます。よほど「ここに入りたい!ここで仕事がしたい!」というものがない限りは、あえて中小企業を新卒の時点で狙う必要性はないと思います。大企業で数年働いてから外に飛び出すのも、遅くはありません。ウェブでの有名人もほとんどが大企業出身者ですから、大企業の経験は後々に役立つでしょう。

一言でまとめると「中小企業はなんでもやらせてくれるという幻想を持たず、チャンスがあるなら大企業で就職し、不満があれば数年後転職すれば良い」ということになります。

就職活動、頑張ってください。