世の中、何が注目されるか本当にわかりにくいものです。プラチナはこの数年、金や銀のブームに比べてほとんど注目もされず、相場も比較的おとなしいものでした。ですが、にわかにアメリカで「プラチナ騒動」がノーベル経済学者クルーグマン博士を巻き込んで始まったものですから日経新聞では私の知る限り、電子版を含め、この数日で3回、記事になっています。
まず、記事の趣旨なのですが、アメリカの債務上限問題に絡み、法律の抜け道でアメリカ財務省が1兆ドル相当のプラチナ硬貨を発行し、それをFRBに差し出し、1兆ドルの現金を現金をゲットし、歳出に充てるというものです。そして、クルーグマン博士はばかばかしい議論であるからこそ、ばかばかしい方法で対応すればいい、と半ばまともにこの議論に肯定的なのであります。
このところ、アメリカの政治は日本の政治よりも酷く、債務上限問題も政治家が自分たちで決めたルールについてあぁでもない、こうでもないと悶着しています。一方、FRB側もこれ以上の奇策は少なくなったといわれており、このプラチナ騒動がなぜか、まともに議論の対象に上がってきてしまったということなのです。
ちなみに日経の電子版では以下のとおり、別の理由でプラチナの価格がファームになっている点も指摘しています。
「主産地南アフリカでプラチナを生産する英アングロアメリカン社の新しい最高経営責任者が決まり、「今後、鉱山閉鎖が本格化する」(鉱山会社)との見方が広がった。同社は不採算の鉱山を閉鎖する意向を示している。米国の新車販売が好調なのも上げ材料で、「主力の自動車触媒需要が伸びるとの見方から、景気に敏感に反応するプラチナにファンドの買いが入っている」(金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏)との指摘が出ていた。」
とのことであります。ちなみに相場に敏感な私は一応、少し前にプラチナ関連の株式を多少購入しておりますが、この1ヶ月ぐらいの間に既に倍近くになってきております。
ところで最近めっきり輝きがなくなった金ですが、見方は完全に二手に分かれています。アメリカの金融緩和が終わりに近いことから金は売られると見る向きと信用できる通貨がないから金が今後も継続的に買われる、とう両極端な状況です。私のびっくり大予想では今年、金は2000ドルをつける、としていますので上がるほうに賭けているわけですが、基本的に金融政策の手詰まりからプラチナのように商品に代替させることが大いにありえると思っています。その点、金は歴史からして今後、何らかの代替通貨としての議論は必ず出てくるものです。
また、ドルと金の関係からすればドルの発行額と過去の金価格の関係からは金は数千ドルに上がらなくてはバランスが取れないことになり、簡単に金メッキがはがれることはないと思っております。
今日はこのぐらいにしておきましょうか?
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年1月11日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。