日産リーフはカルロス・ゴーン社長が満を持して発売した電気自動車でした。当初一回の充電で160キロ走れるというのが話題になり、2016年までに世界で150万台を売る計画を立てたものの2010年から12年末までにわずか5万台しか売れていません。そういえば最近は北米でもシボレーボルトを見ないばかりか、新興メーカーの電気自動車も話題に上らなくなりました。アメリカのあるEVスポーツカーメーカーの商品にかなり問題があったこともその信頼性に疑問を投げかけたということでしょうか?
では、EVは今後どうなるのでしょうか?
私は少なくとも北米でEVは普及しない、と断言してきました。理由は一回の充電での走行距離が中途半端であること、毎日充電しなければならない不便さ、充電所のインフラ整備は遅々として進まないこと、シェールガス革命で燃費に対する感性が鈍ってきていること等々があげられます。特に最後のシェールガスの影響は今後、アメリカがエネルギーの自給が出来る前提となれば石油依存度が下がるわけですからナチュラルに考えれば原油価格は下がってもおかしくないのであります。また、天然ガスで動く自動車やトラックも開発はされています。ただし、こちらも巨大なタンクを車に搭載しなくてはいけないこととやはり天然ガスを買うスタンドの整備が不十分であることで普及する見込みはまだないようです。
では、環境にやさしい自動車は北米では普及しないのか、といえば多分、今の時点ではハイブリッド方式が勝者であると断言してもよいと思います。ここバンクーバーのタクシーはトヨタのプリウスが主流ですし、北米全体で市民権を得つつあるようです。
一方、オバマ大統領は自動車の環境対策のため、将来的に現行の二倍の燃費規制を求めていますので各自動車メーカーは抜本的対策を求められると思います。その中でトヨタがBMWと水素自動車の開発を進めており、数年のうちに市場に出てくる公算もあり、技術が日進月歩となっている以上、自動車メーカーの思惑とは別にインフラ整備には躊躇する動きも出てくると思います。例えばバンクーバーでも一時期電気自動車用の充電設備を役所が推進していましたが、今、止まっているはずです。理由は電気自動車が普及しない上に充電方式が日本のチャデモと欧米のコンボという二方式になり、充電器が二種類必要になってくるからです。また、コンボ方式の急速充電でも1時間程度かかるわけでただでさえガソリンスタンドに行列が出来る状況がよく起きている中で充電を待っていられないというのが正直なところでしょう。
EVは北米全般での普及は困難で、もっと限定されたエリアでの市場開発を主流とすべきだと思います。例えば島とかスマートシティであるとか、小さな国、新興国の一部などに自動車会社がインフラ整備も抱え込んでやるぐらいでないと厳しいでしょう。現状、北米で年間1500万台以上のペースで車が売れている中、EV開発部隊は肩身の狭い思いをし続けることになるような気はしますが。
今日はこのぐらいにしておきましょう。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年3月8日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。