ライフネット生命は本日(4月1日)付で、社内で英語を公用語化することを決定したと発表した。これは「100年後に世界一の保険会社になる」という出口治明社長(64歳)が掲げる目標に沿った方針である。当初は2043年より導入を目論んでいたが、出口社長の年齢も考慮し、30年前倒しで実現した形になる。
本日より直ちに、出口社長のことは社内で「Mr. エグジット」と呼ぶことが義務付けられる。米国を中心に先進国の中央銀行が金融政策の出口戦略を模索するなか、「金融緩和の副作用とエグジット戦略を社員に意識づけるいいきっかけになるのでは」(出口社長)としている。岩瀬大輔副社長(37歳)のことは「Mr. バイスプレジデント」ないしは「Chalie Vice (チャライバイス)」と呼ぶことが内定した。
これに合わせて、テレビCMで人気のサウンドロゴ「らーいふ ねっと せいめい~♪」も、「ラーイフ ネッツ ライフインシュアランス♪」に切り替えられる見込みで、「『頭痛が痛い』みたいな語感で消費者の混乱を招かないか」(広告代理店関係者)とカツゼツの悪さが申し込みに与える影響が心配されている。
社内の食堂のメニューも今朝より直ちに英語に全面切り替えが実施されており、「親子丼」については「サンアンドファザーライス」、「ニンニクマシマシヤサイアブラマシ」のオーダーは「ロットオブ ガーリック リトルビット オイリー」、など、「世界にいつ出ても通用する実践的な英語を身に付けるきっかけになれば」(鈴木原 執行役員総務部長)とする。一方、「そもそもうちには社内食堂がないじゃないか。幹部は社員の生活実態を理解していない」(社員)という批判の声もあがる。
不安の声はこれにとどまらない。「鼻歌も英語で唄えと言われたが、自分は洋楽はビートルズのヘイ・ジュードしか知らない。楽しいときまで切ない曲を口ずさめというのか」(堀江泰夫 スマートフォン戦略室長)など、既に日常の業務遂行へ与える影響にも不満が見え隠れする。ライフネットの創業時からビルの清掃を担当してきた作田京子さん(大成ビル管理)は「あたしらのような者にまで英語公用語化は義務付けられることになる。出口社長には裏切られた思いだ。もうライフネットの掃除はしない」と募る思いを露わにした。
このような社内の声を見越してか、英語公用語化の定着に向けて、リスク管理部では厳重な監視体制を敷く予定だ。「グローバルを目指す当社にとってイングリッシュのユースはベリーインポータント。英語公用語化のインポータンスをアンダーマインする動きについては、ERM(統合リスク管理)の観点からプルーデントにモニタリングしたい」(藤澤陽介 リスク管理部長)と目を光らせる。
この英語公用語化の動きを機に国際化を加速化させたいライフネットは、イメージキャラクターには帰国子女で国際的なイメージをもって知られるタレントの西田ひかるさん(40歳)を起用する予定だという。「西田さんは『光輝く笑顔でしょ』をキャッチコピーとする当社の理念にぴったり。自分が中学時代から大好きで写真集を持っていなかったとしてもお願いしたい逸材」(岩瀬副社長)と鼻の下を伸ばしながら話している。もっとも、事務所への打診については不慣れな英文依頼書作成にマーケティング部が戸惑っており、「早くとも秋頃になってしまう見通し」(関係者)とされ、急速な英語公用語化の副作用も明るみに出た形となった。
以上の動きについて、出口社長は次のように語った。
“I think there are three types of human beings. Hamlet, Don Jiovanni, Don Quixote. I want to be Don Quixote” (人間には三通りのタイプがいる。ハムレット、ドン・ジョヴァンニ、ドン・キホーテ。私は夢想し続けるドン・キホーテでありたい)
【以上、エイプリルフール2013でした】
編集部より:このブログは岩瀬大輔氏の「生命保険 立ち上げ日誌」2013年4月1日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は岩瀬氏の公式ブログをご覧ください。