北朝鮮問題が緊迫化の度合いを高めています。この問題はどこまで突き進むのでしょうか? 専門家の見方も実際の攻撃はしないのではないか、という楽観論から読みにくいとする先行き不明論までさまざまです。また、北朝鮮側はミサイルの発射を10日以降いつでもそれを行う準備があるとしています。理由は11日が金正恩氏の就任一周年、15日が金日成主席生誕日などを控えていることからこれらの記念日にあわせた行動ではないかと見られています。
まず、ロケットについては飛ばすのだと思います。それは過去にもやってきていることであり、今またそれが繰り返されたとしてもここまで緊張状態を作り上げた以上、国威を示さざるを得ないのではないでしょうか?
また、北朝鮮と韓国の友好の印であった「開城工業団地」に金総書記が立ち寄り、従業員に「南朝鮮当局の態度如何」という発言をした上で北朝鮮側従業員を一時的にせよ撤収させたことは北朝鮮がもはや戻れないところまで来てしまったという感があります。
金総書記は就任以来まだ正式な外交を進めておらず、本来味方である中国とも距離感が出てきています。中国の習近平総書記としても「習外交の色づけ」が間違った方向にならないよう、北朝鮮問題には非常にセンシティブに当たると思われますし、金総書記の出方が見えないことから様子見をしているようにも感じます。ミサイルが中国側に向いているわけではないという点からも一日を争う事態ではなく、むしろ、アメリカなどの動きに注目しているのではないかと思います。
以前より噂されている金総書記と軍部との軋轢についても金一族がそれなりの「成果と功績」を見せない限り、解決には向かわない可能性はあり、逆説的ですが、今後、何らかの大きな「事件」が生じることで北朝鮮問題の解決の糸口になるのではないでしょうか? そして北朝鮮が膨張するということはありえないわけですから国内問題として金家が威信をかけて国家と軍部をコントロールするのか、はたまた軍事クーデーターが生じるのか、更には国家の崩壊を招くのかといった非常にドラスティックな結末が生じてもおかしくないのかもしれません。
少なくともアメリカや韓国を始め、関係国が主導的に手を出すことは考えられませんので北朝鮮が自主的に何か「コト」を起こせばその内容によっては報復措置が行われることもありえるのでしょう。
では金総書記が望んでいるとされるオバマ大統領との直接交渉ですが、私はないと思っています。なぜならば北朝鮮は過去、裏切りが続いてきたわけで今回、わざわざ大統領が交渉の矢面に立ったとしてもその約束が反故される可能性もあるならばこれほどばかげた交渉はないということになります。要は信頼関係がそこには存在しない、ということかもしれません。一方、アメリカは北朝鮮外交については芳しい成果を挙げていませんのであまり主導権をとりたくないという気持ちがあるのかもしれません。
緊張状態というのはそれほど長く続けられるものではありません。特に今回の緊張は自作自演である点において金正恩氏個人が自虐的になっているといっても過言はないでしょう。ならば、関係国は時間稼ぎというスタンスで臨むのもひとつの作戦かもしれません。
個人的にはさほど遠くない時期に歴史に残るような何らかの動きがある気がいたします。
今日はこのぐらいにしておきましょう。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年4月9日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。