上司は何も教えてくれない --- 岩瀬 大輔

アゴラ

昨日のエントリー「辣腕上司に教わった7つのこと」も好評で、「いいね!」は現時点で1,000を超えた。いま振り返ってみても、本当に素晴らしい上司に恵まれたと思う。

しかし、皆さん、本当に大切なことを見逃していないか。


タイトルは「上司に教わったこと」と書いてあるが、よくよく読んでみると、実際にその上司が「教えて」くれたのは、7つのうち、2つしかない。しかも2つとも、人生観のようなもの。

残りの5つ、仕事の仕方については、彼が教えてくれたわけではなく、僕が彼の仕事ぶりを目の前にしながら、自分で気がついたことなのだ。

その場で電話をしてアポを取るところをみて、「あぁ、こうやってすぐに行動するんだ」とか、サラサラ手紙を書いている姿を見て、「あぁ、こうやってお礼状書くと喜ばれるだろうな」とか、メモを準備して自分と話す姿を見て、「あぁ、こうやってメモを準備するようにしよう」とか。

3年間の付き合いの中で無数のことを学んだはずだが、最終的に印象に残っているもの、仕事にとって大切なものが、10年経った今でも、頭の中で整理されて強く印象に残っている。

つまり言いたいことは、いい上司や先輩が周りにいることは大切だが、彼らを活かせるかどうかは、ひとえに自分の気付く力、学ぶ力にかかっているのだ。常に学ぼうという姿勢でいて、何がエッセンスかを考える。すぐに真似してみる。自分に定着させる。それがない限り、どれだけいい上司や先輩がいても、自分が成長することはないだろう。

僕は自分の強みをひとつ上げるとしたら、このような「学ぶ力」ではないかと思う。気づく力。感じる力。真似する力。

よい師たりうる人は、もしかしたら世にたくさんいるのかも知れない。問題は、彼らを発見できていない僕たちの力だ。

若手ビジネスパーソンに本当に求められるのは、このような「盗む力」であり、「学び続ける力」である。それが、昨日のエントリーから感じ取るべき、本当に大切なメッセージだったかも知れない。それは身につければ、ずっと自分を助けてくれるのだから。


編集部より:このブログは岩瀬大輔氏の「生命保険 立ち上げ日誌」2013年4月12日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は岩瀬氏の公式ブログをご覧ください。