君に仲間は何人いるか --- 岩瀬 大輔

アゴラ

社会人3年目の夏。初めての転職を経てベンチャー企業で働いていた頃、親しい友人たちと開催したパーティで一人の男性に出会った。外資系投資銀行からベンチャーに転職したばかりの帰国子女。気が合うと思った。翌朝、メールが来た。

「岩瀬さんは同じ匂いがします。僕ら、絶対に仲良くなります。友達になりましょう」


それ以来、僕らは仲間になった。つらいときや悩んだ時に、真っ先に相談する仲間。嬉しいことがあると、共に喜びを分かち合う仲間。プロフェッショナルとして共に成長し、切磋琢磨し合う仲間。

彼の名前は、南壮一郎。ライフネットと時をほぼ同じくして、ビズリーチというベンチャー企業を立ち上げた。
彼の新著「ともに戦える『仲間のつくり方』」からも浮かび上がってくる彼の強みの一つは、本能的に身についている圧倒的な行動力だ。

  • 米国で先行企業を見つけると、創業者にメールを出してニューヨークまで突撃
  • アイデアを温めるべく、2カ月で100人以上の人材業界の人に会う
  • エンジニアを求めて、自分が気にいった100近くのサイトの問い合わせフォームから開発者にメールを出す
  • ビジネスモデルが決まったら、2か月で150人以上のヘッドハンターに会う

皆さん、「できない」とあきらめてしまう前に、ここまで本気でやっていますか?南は本気でこれを実践する。本当に欲しいものがあったら、徹底して行動を続けなければいけないことを教えてくれる。

そして、彼のもう一つの強みが、よい仲間を作っていく力。ベンチャー企業をやっている人なら誰しも痛感するのだが、すべては人である。いい仲間がいれば、計画が多少稚拙であっても、事業はなんとか軌道に乗る。一方、どれだけ計画が緻密それを実現する仲間がいなければいつまでも立ち上がらない。

「何をやるか」ではなく、「誰とやるか」で物事は決まる。

ベンチャーや新規事業の立ち上げは、いわばワンピースのような宝探しの旅なのである。最高の仲間と舟に乗り、冒険に出かける旅。

南壮一郎は、仲間作りの天才だと思う。

彼が本書で、ビズリーチという一つのサービスが立ちあがっていく物語を通じて訴える仲間作りの秘訣は、ライフネット生命で僕が実現してきたこととまったく同じだ:

  1. 自分にアイデアがなければ、まずは何かに巻き込まれてみよう。相乗りで構わない
  2. 会う人に夢を語り続けよう。夢を語ることで、仲間を引き寄せる
  3. 直感的に「いい」と思った人全員に声をかける。チャンスは一瞬
  4. 仲間の言葉を信じよう。それが自分の成長につながる。
  5. 信頼する仲間に、すべてをさらけ出そう。
  6. 一人で跳べる人間なんていない。仲間と一緒に成長しよう
  7. 自分よりも得意なことは、仲間に任せよう

新規事業を立ち上げようとしている人だけでなく、人生を豊かにしてくれる仲間を作りたい人には、ぜひ彼が辿ってきた軌跡を追うことで、自分の仲間作りの参考にして欲しい。


ともに戦える「仲間」のつくり方

* 仲間なのに献本してもらえなかったので、自分でamazonで買いました(笑)


編集部より:このブログは岩瀬大輔氏の「生命保険 立ち上げ日誌」2013年4月13日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は岩瀬氏の公式ブログをご覧ください。