サザエさん症候群をこえて 働き方を野球からサッカーに

常見 陽平

「なぜ、人はサザエさんを見ると、ブルーになるのか?」

そんな記事をNEWSポストセブンで書いた。かなり拡散し、人気記事ランキングで6位になった。今日、通勤電車に乗っていて、既にブルーな人もいることだろう。サザエさん症候群との付き合い方について考えてみたい。


まず、詳しくはそんな記事をNEWSポストセブンの記事で書いたのだが・・・。

人は『サザエさん』を見るとなぜブルーになるのか?あの作品をみて、会社に行きたくなくなる状態を「サザエさん症候群」と言うのだが、その発症理由は何なのだろうか?

答の一つは、そこには「昭和の普通の幸せ」があるからである。いや、普通ではない。実は当時からするといい方なのではないかと考える。マスオさんは二浪の末、早稲田大学を出ていて、30代前半で課長だ。当時で大卒。しかも、今と比べるとスピード出世ではないか。親子三世代同居。結婚しているし、子供もいる。サザエさんは専業主婦だ。

女子大で講師をしていると、就職・結婚・出産&育児という「普通の女子の普通の幸せ」が難しくなってきていると感じる。就職難の時代だし、婚活時代だし、晩婚化傾向なので妊娠もしにくくなるし育児の体力も大変(このあたりは白河桃子さんとの共著『女子と就活――20代からの「就・妊・婚」講座』にまとめたので興味があったら手にとって頂きたい)。

「昭和の普通の幸せ」の他、もう1つ理由をあげる。それは、『サザエさん』とは「時報」なのである。あと半日後には、企業戦士(いや社畜)としての日々が始まる時報なのである。会社が、仕事が好きな人も嫌いな人も、明日から始まる戦場のような日々にブルーになるというわけである。会社というのは、安定をもたらすものでありつつ、自由を束縛するような。多くのサラリーマンにとってそんな存在である。

会社との付き合い方をどうするか、働きすぎをどうするかというのは、社会問題なのだが、社会や会社が解決策を出すのは時間がかかるので、短期的には個人の努力、処世術による部分も大きいだろう。

4月だ。

会社や仕事との上手い付き合い方を考えたい。

私が最近、こだわっているのは、「働き方を野球型から、サッカー型にする」ということである。野球は、勝負がつくまでやる(一応、時間を限定する運営上の決まりはあるが)。サッカーは時間が決められている(ロスタイムはあるが)。しかも、チームワークは常に必要とされる。

仕事をダラダラとやらない。時間を決めてやりきる。人に協力を仰ぐのをかっこわるいと思わない、こういう姿勢は実は個人の処世術として大事なのではないかと考える。

仕事には冷静と情熱が必要だというのが私のポリシーだ。所詮、金のためにやっている、これで死ぬことはないというさめた視点と、この仕事で世の中変えたいというような厨二病的な情熱が両方大事である。

今期こそ、こういう個人の処世術を大事にしてみよう。


「すり減らない」働き方 (青春新書INTELLIGENCE) [単行本]

そうそう、忙しさとの付き合い方、会社との距離の取り方、サザエさん症候群の治療法などを1冊の本にまとめた。その名も『「すり減らない」働き方』だ。

真性社畜、究極社畜生命体だった私が、すり減らない働き方を徹底研究しまとめたものである。

おかげさまでe-honでは先週、新書で1位だった。ぜひ、手にとって頂きたい。

さあ、会社とも仕事とも気持ち良い距離の取り方をし、サザエさん症候群を乗り越えようではないか。