前回の餃子の王将のスパルタ研修…他の方法はあるのかはBLOGOSの記事でかなり読んでいただけた方が多かったようです。ただ、コメント等を見ていますと私の主張がちゃんと伝わっていないなと思いました。悪文を書いてしまい大変申し訳ありませんでした。
今回は投げかけたいテーマをはっきりとさせようと思い、結論から書きます。言いたいことは前回と同じです。
「あなたは下流層を切り捨てますか?共に生きますか?共に生きるなら具体的な方法はどうしましょうか。」
千房というお好み焼き店をご存知でしょうか。関西発祥のお好み焼き店で、全国にフランチャイズ展開をしています。この会社では元受刑者を社員として雇用しています。こちらのBLOGOSのニュースを参考にしてもらうとわかりやすいですが、元受刑者の社会復帰に貢献するため損得よりも善悪で考えて、採用することを決めたそうです。
私も一度中井社長の講演に行ったことがあるのですが、非常に暖かい方です。いわゆる昔からの家族経営で、従業員は皆家族のようなものという考え方で経営をされているようでした。記事にもありますが、外食産業には人材がなかなか来ないので、いろんな人を採用していたそうです。その中には非行に走っていた過去をもつ人、服役経験がある人達も混ざっていたようです。
元受刑者というのはなかなか就職する先がなく、刑務所を出てからもう一度刑務所に戻る率も高いと言われています。その原因の一つが社会が彼らを受け入れいておらず、就職できないということです。こうやって千房さんたちが元受刑者を採用するというのがニュースになるくらい、日本では犯罪を犯した人たちが出所した後も社会として受け入れる体制ができていないのが現状です。
もう一つの例ですが、ホームレスの支援団体でHomedoorという団体があります。川口代表は20代の若い女性なのですが、10代の頃からホームレス問題に強い関心を持っていたそうです。そして大学生になりこのNPO団体をたちあげて、現在も続けてホームレス支援を行なっています。
主にHUBchariというシェアサイクル・レンタルサイクル事業を行なっており、この現場の運営をホームレスの人達に任せています。この事業は雇用を生み出すのではなく、職業訓練的な意味合いを持っています。HUBchariを通して仕事を学んだり仕事の間隔を取り戻した人たちが、ホームレスを脱して新しい仕事に就くことを目的としているようです。実際に仕事が決まって卒業したホームレスの方も多いと聞いています。
この「元受刑者」と「ホームレス」という極端な例ではありますが、彼らとともに社会を歩むのか?それとも彼らを切り捨てるのか、それが私の問いたいことなのです。「切り捨てられるわけ無いだろう」というのであれば、じゃあどういう方法で彼らとともに社会を歩んでいくのか?その具体的な方法をみなさんに考えて貰いたいのです。
前回例にあげた餃子の王将では、採用する人材の多くは他の会社でふるいにかけられた人たちだ、そう担当者はおっしゃっていました。逆にあえてふるいにかけられた人たちを採用しない、という方法もあると思います。企業の成長のために人材採用は必須ですが、あえて自社に来る人材のレベルをMARCH以上でコミュニケーション能力があり、常識がある人達と絞ったとしてもいいでしょう。それもひとつの考え方で、企業を大きくしないというのもひとつの考え方です。
しかしそのような企業ばかりであれば、就職活動でふるいにかけられた人達はどこへ行けばいいのでしょうか。彼らの働く場所はどこにあるのでしょう。すべての企業が「能力の高い人達を採用します」と宣言した場合、Fランク大学や中卒・高卒の人達はどこで働けばいいのでしょうか。ホームレスや元受刑者を受け入れてくれる会社なんてあるんでしょうか。
餃子の王将や千房、Homedoorなどは社会のふるいにかけられ人たちと共に生きる道を選択しています。やり方はそれぞれ違いますし、問題があるかもしれません。私だってスパルタ研修は好きではありません。しかし社会から外れた人たちをどういう形であれ、教育をして採用して自立して稼げる人材を作っているのは事実なのです。
スパルタ研修を批判するのもいいでしょう。しかしその反面、社会のふるいにかけられた人たちに教育を施し、食を与えているという光の面があるのも忘れてはいけません。
最後にもう一度問いかけます。「あなたは下流層を切り捨てますか?共に生きますか?共に生きるなら具体的な方法はどうしましょうか。」