今日からアメリカ出張。メインはハーバードビジネススクールでの講演とエール大学での浜田宏一先生引退夕食会の参加。このブログでも色々と途中で面白いことがあるだろうから報告したい。今日このブログでいいたいのは一点。「日本人よ!違う人と会え」ということ。
ただでさえ、均質性高い日本人そして日本社会。それなのに、その中でも排他的?とまではいわないが、均質性を高めてしまう性癖があるのではないか?!日本人!
私が講演や懇親に招かれる会は、生まれた年にちなんで**会とか金融同業者の勉強会とか若手ベンチャー経営者の会とか出身の学校の会とか留学経験者の会とか。何か集まるきっかけとして共通点が必要なのはわかる。楽に付き合える人と付き合いたいのも私も同感だ。
しかし、楽な相手、似た相手、共通点が多い相手、こういう人たちとばかりあっているのはいかがなものか?情報交換には意義があるだろう。
私は人と会う時や会をデザインするときはできるだけ異質なメンバーを集めることとしている。業界、年齢、出身地、性別、国籍等をミックスさせる。こうなると出会い頭からあまりリラックスできない(笑)緊張感あふれるスタートとなることが多い。それがいいのだ。
親しい脳科学者によると、脳は異質な人と会う時に最も活性化されるという。いわゆる手さぐり状況だ。リラックスしている時は脳は眠っている。スティーブ・ジョブズもジョセフ・シュンペーターも「点と点をつなげることがイノベーション」といっている。バックグランドや考えが違う人同士で会うと、盛り上がらないこともたまにあるが、それでも実は何らかの刺激を受けているのだ。
日本で国籍の違う人面白い人々を頻繁に集めるのは大変だが、多様性は国籍や文化や言語だけではない。私は世代や業界や現在地が違えば、同じ日本人でもものすごく違うと思う。特に世代や現在地の違いは大きい。
先月、シリコンバレーの高名な起業家が数年前に立ち上げた交流会に参加してきた。場所は西海岸ではなく、ユタ州のリゾート。何がすごかったかというとそれは多様性。シリコンバレーだからと言って、若いIT起業家集めていないのだ。小泉進次郎氏が「政治家も若いから改革派というわけでない」との名言を時折いろんなところで主張しているが、その通りだ。シリコンバレーでも若いからイノベーティブでもないのだ。この会合にいってみれば、シリコンバレーでもITもいれば、バイオもエネルギーもそしてあの有名な宇宙ベンチャーのトップもいた。そしてオバマ政権の現職閣僚からホワイトハウス側近、ノーベル賞各賞(生理学、経済学、物理)受賞者らがいた。年代も20代から70代まで。
この会のファウンダーは有名なIT起業家兼投資家。彼は「とにかく違うやつをそろえた。業界、国籍、事業、年齢、性別。そこからしかイノベーションは生まれない。若い連中だけ集まっても経験も人脈も限られているし、成長できない。自分の業界以外の付き合いも大事だし。多様な学者や政治家とも付き合うべきだ。何も改革派だけに限る必要はないし」とパーティーで断言していた。改革派だけであっていては実は物事が動かせないことをよく知った大人の対応である。さすが!と思った。
日本では同じ年代で同じような業界で勉強会や政治団体を立ち上げ、自分と同じような考えを持った政治家や官僚と勉強会やっている。気心が知れて楽でいいだろう。でも成長や学びにも限界があるだろうし、そんな排他的っぽいことをやっていれば交流しない人たちは「俺たちは守旧派扱いか?おおそうか」となる。
若い起業家こそ守旧派や族といわれる官僚や政治家や大企業経営者と交流すればいいと思う。お互いの誤解も緩和され理解も広がり、学びもあって成長できる。楽で楽しい気心知れた似た者同士でつるむことも有意義だが、これからの激動の時代にはほどほどにしよう。
とにかく自分と対極にある、考えが合わない、と勝手に思っている人たちとこそ付き合うべきだ。リラックスできず、盛り上がらず、不快なこともあるだろうが、意識がなくても、多くを学び成長できていることと思う。
かくいう私も守旧派のドンと言われる大先輩政治家たちから多くを学んだ。彼らが諭してくれたことは当時は「だから日本で改革が進まないんだよ」と反発していたが、今になって人生の酸いも甘いも知る彼らの考えの重みがようやく理解できて、納得できる部分も多いと感じる。感謝している。
アメリカでも立場も年代も国籍も多様な方々とまとめてあってきます!また報告します!それではよい週末を!
この記事は田村耕太郎のブログからの引用です