日経電子版によれば、日本国内で新たに大規模な金融詐欺事件が発生しているようです。今月のマネー誌にも広告(写真)が掲載されていた医療投資スキームです。
顧客資産1300億円消失か 米MRI、金融庁が行政処分へ
日本の顧客から投資資金を集めていた米金融業者のMRIインターナショナルが資産の一部を消失した疑いがあることが証券取引等監視委員会の調査で明らかになった。金融庁は26日にも業務停止命令などの行政処分を科し、顧客資産の保全に乗り出す。顧客資産の総額は1300億円に達する可能性がある。
MRIは米ネバダ州に本社を置き、診療報酬を基にした金融商品を年6~8.5%の高利回りが得られるとして、日本で販売していた。会社側のホームページによると、日本の約8700人の投資家から集めた資金総額は1365億円。
(日経電子版より引用)
事実関係は、これから明らかになるでしょうが、個人投資家として考えておかなければいけないことは、この手の金融詐欺に巻き込まれないようにするには、何をしなければならないかです。
最初から投資家を騙すつもりだったのか、あるいは仕組み自体に無理があって約束した高利回りを実現できなくなって行き詰ったのか。いずれのケースにしても、投資した人は大きな経済的損失と精神的なダメージを被ります。
投資家の気持ちとして、少しでも高利回りをというのはよくわかるのですが、金融の世界のルールは
「ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターン」
が原則です。リターンが高い商品に投資をする場合には、それに見合った高いリスクを取らなければいけないということです。とすれば、そのハイリターン商品に存在する「高いリスク」とは何かを知る必要があります。
金融商品の中には仕組みの説明をいくらきいても理解できない「ブラックボックス商品」があります。「海外の最先端の金融工学」や「特別な金融制度の歪み」によってリターンを狙うと言われても何だか良さそうと思うだけで、本質的なことは何もわかりません。
しかし、このような金融商品が、有名人が登場する広告で説明されていたり、全国紙やマネー雑誌の広告に掲載されていると、何だか信用できるような気になってしまうのです。
コストの高い「ハイリスク・ローリターン」の金融商品(リスクを取っても報われない商品)を買ってしまうのは金融市場の「カモ」になっている人です。気がつかないうちにリターンを吸い取られてしまっているケースです。
しかし「ローリスク・ハイリターン」の金融商品とは、そもそも虫の良い話であって、効率的な金融マーケットには実在しない「サギ」です。
「カモ」や「サギ」に引っかからないようにするには
- 理解できない金融商品には投資しない
- 有名人が出ているような広告を100%信用しない
- うまい話は世の中には存在しないし、あっても自分のところにはやってこないことを知る
- 信頼できる相談相手を持ち、セカンドオピニオンを得る
- 欲をかかない
といった方法で、自分で自分を守っていくしかありません。
数年前にアメリカで発覚した巨大詐欺事件では、被害者の中に世界中の大手金融機関が多数含まれていました。日本の大手証券会社や銀行、生保なども騙されてしまったのです。
プロでも騙されてしまう金融詐欺。人間の欲がある限り、いつの時代にも決してなくなることのない犯罪です。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年4月26日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。