昨日発売になったばかりの「FXで月100万円稼ぐ私の方法」が売上絶好調の鳥居万友美さんに、お取り寄せの人気商品博多もつ鍋屋(音声が出るので注意してください)を紹介してもらいました。
この会社、通信販売は売上が何と50億円と聞きました。確かに、食べてみたもつ鍋は臭みがまったくなく、食べていてもアクがまったく出てこない透明感のあるスープでした。もつの量が少ないのがちょっと残念でしたが、クオリティはさすがだと思いました。
でも、もっとさすがだと思ったのは、そのマーケティング手法です。
名古屋にあるのに博多もつ鍋のお店。店主が九州のお店を食べ歩いて、自分が納得できる味を生み出したそうです。
そして通販は50億円の年商であっても、リアル店舗は一日一組限定。予約が取れないもつ鍋のお店として話題になっています。また、最寄駅からマイバッハで送迎してくれるというサービスもあるらしく、これもまたもつ鍋の高級感を演出しています。
私の推測ですが、この会社は、リアル店舗を採算を度外視したマーケティングコストと割り切り、通販で大量販売することで利益を出しているのではないかと思います。
もつ鍋の通販といっても業者は乱立していますし、味の違いを訴求するのは簡単ではありません。名古屋にあって、歴史がある訳でもないお店が、ブランディングしていくには、希少性を演出し、話題作りをすることが効果的です。
「限定」「予約が取れない」「隠れ家」といったキーワードにグルメな世界の人たちは敏感に反応します。一組限定で予約が取れない、名古屋の外れにあるお店という演出によってリアル店舗でブランディングを確立することに成功したのです。それを通販で収益に結び付けているとすれば、良く考えられた戦略と言えます。
この「博多もつ鍋屋モデル」は、自分をどうやってブランディングしていくかのヒントを提供してくれます。このお店が訴求しているのは、相対的な料理の味やサービスのレベルの高さではありません。「限定」「予約困難」「隠れ家」といった絶対的な価値の提供によって、比較されないポジションを作っているのです。
リピーターを増やし、継続的に売り上げを向上させるためには、味やサービスのクオリティは必須ですが、それだけをアピールしてもここまでの知名度向上はできなかったでしょう。
自分をブランディングしたい人は、まず対象とする顧客が何に敏感に反応するのかを考える。そして、そのキーワードで自分をマーケティングする方法を実践していく。競合と同じレベルで真っ当に相対的な比較競争に陥るのではなく、独自の切り口から絶対的な価値を認知させることができれば、価格競争に巻き込まれることもなくなります。
味噌味なのか塩味なのかも知らないまま、話題性だけで注文してしまった「博多もつ鍋屋」。このブログを読んで食べてみたいと思った人は、すでにこの会社のマーケティング戦略にやられています。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年4月30日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。