4月30日にクールジャパン推進会議が開催されました。稲田担当大臣、寺田副大臣、山際政務官、財務・外務、農水・国交・文科政務官ら霞ヶ関そろい踏み。委員は秋元康さん、角川歴彦さん、金美齢さん、コシノジュンコさん、佐竹力総さん、千宗室さん、依田巽さん。ぼくはポップカルチャー分科会の議長として出席し、その席で、ポップカルチャー分科会がとりまとめた提言を報告しました。以下、全文です。
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飛び出せ、日本ポップカルチャー。
ポップカルチャーが世界に飛び出す「発信力」を強化する。
このため、「参加」(短期)、「融合」(中期)、「育成」(長期)の三策を講ずる。
「みんなで」「つながって」「そだてる」。
■みんなで ・・・「参加」(短期)
世界中の子どもが知っているアニメもゲームも、海外の若者が憧れるファッションも、支えているのは消費者、ファンの愛情。クリエイター、キャラクター、事業者、そして何よりそれらを愛する国内と海外のファン。「みんな」の力を活かしたい。インターネットで多言語発信し、内外でイベントを開き、交流できる場や特区、さらには「聖地」を形作るなど、みんなが「参加」して情報を発信する仕組みを構築しよう。政府主導ではなくて、みんな。
■つながって ・・・「融合」(中期)
クールジャパンは、マンガやJ-popだけではない。歴史、風土、精神文化、ものづくりの技術、それら全てが「融合」した総合力。そしてカワいいキャラクターやカッコいいヒーローは、政治体制の壁も乗り越えて世界に受け容れられる。ポップカルチャーには海外への先導役をお願いしつつ、食、観光はじめ多くの産業や伝統芸術、精神文化とも「つながって」、日本の総合力を発揮してもらおう。
■そだてる ・・・「育成」(長期)
ポップカルチャーを生むのは人。楽しむのも人。内外の人財を「育成」しよう。時間をかけて、トップを引き上げ、ボトムを厚くしたい。一流のクリエイターやプロデューサを育てる。彼らが意気に感じ、意欲をもって仕事に取り組むことができる環境を与えたい。海外のファンに正しい知識を与え、日本への視線を熱くする。子どものポップな創造力と表現力を育み、誰もがアニメを作れて作曲ができるようにする。このための制作環境や教育基盤を整えよう。
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分科会委員のみなさんやネットでの意見も取り入れ、この三点にしました。特に、「政府主導ではなく、みんなで」を強調。
クールジャパン推進会議では、この方向性を示した上で、この下に具体的なアクションを打つことが大事だと述べ、配信サイトやファンサイトに外国語翻訳をつけていくこと、海外向けテレビチャンネルとネット配信を整備すること、食・観光などと組み合わせた特区を作ること、内外の大学にポップ講座を設けること、子ども向けワークショップやデジタル教材を開発すること等を例示しました。
一方、これもぼくが会長を務める知財本部コンテンツ専門調査会でも、著作権制度や海賊版対策などに力を入れており、それらも合わせて日本のソフトパワーが発揮できるよう、委員や政府関係者にお願いをした次第です。
会議では、金さんが「日本人が日本の良さを知らないのが問題」と発言。そうです。クールジャパンは10年前にアメリカから入って来た概念。日本が最もクリエイティブな国だと世界から評価されながら、日本人だけがそう評価していないという国際調査結果もあります。自らが自らを認識するのが出発点。
秋元さんがクールジャパンを牽引するプロデューサーの重要性を説いていました。そのとおり。中でも大事なのは、トップで引っ張る政治リーダーシップ。政府のみなさん、よろしく。また、金さんがある町で包装紙が統一されている例を紹介していました。そう、自治体がご当地キャラで町おこしをしているように、ローカルから動きが広がっています。それをくみ取ることが重要。トップもローカルも力を入れる。
オールジャパンで、という発言もいくつかありましたが、政府と民間委員が組合交渉のように対峙する会議じゃなくて、さまざまな「みんな」に入ってもらい、ジャパンを超えて世界の方々も巻き込んで政策を作っていくことが必要。
ぼくの役目はここまで。
後は一国民として、これから練られるクールジャパン推進会議や政府のアウトプットを注視すると同時に、ハッパかけたりプレッシャーかけたりしていきます。
編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2013年5月2日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。