断層にカツを入れたら大騒動(その2.激動陰謀編) --- ヨハネス 山城

アゴラ

福島の原発事故、主な原因は津波とされてるはずや。ところが、今、日本中の原発関係者を恐怖のどん底に追い込んでいるのは、津波やのうて活断層や。何か、変なのと違うかな。ワシとしては、ある種の陰謀のにおいを感じる。と、ツカミを入れておいて、少々、退屈な話をする(誰じゃい、他の記事へのリンクを探しはじめたやつは。お前、この先をちゃんと読まんと死ぬで、200年以内にな)。


まず、断層とは何かや。これから田舎の道を走る機会があったり、田舎に住んでいたりして、幅10m以上の崖を見る機会があったら地層を観察してみてほしい。はしから端まで、地層にずれがなくキレイに繋がっているものなんか皆無やろ。たいていは、あちこちに、数cmから数mの地層のずれがある、これが断層や。

考えてみれば、海底でできた地層が観察できるということは(アゴラの読者に現役の半漁人はおらんやろ)、過去に、最低一回は大規模な地殻変動を受けたたということや。断層という古傷のひとつやふたつ、あって当然やろ。日本では、断層はさして珍しいものではないわけや。

さらに、同じ古傷でも、「陸地一筋1億年ティラノザウルス御一家様御用達」てな、大陸の真ん中にある岩盤と、海になったり陸になったりして、安物のパチンコのようにしょっちゅう新装開店している日本の岩盤とでは、意味がまるで違ってくる。

おそらく、最初に「活断層(active fault)」というような概念を考え出した昔のヨーロッパの科学者に見せたら、日本の断層はほとんど、「カツ」を入れられることになるやろう。

そやから、日本のような造山帯にある原発で、「敷地内に活断層はない」と言い張ろうとするならば、やれ「15億年より古い」やら、それ「これは地滑り」やら、細かい議論で勝負するよりなくなる。ちょっとでも、不利なデータが出たら、即アウトや。

さて、ほな、活断層があったらなんで原発は危険なんやろか。一部のひとは誤解していると思うが、断層の近くだからと言って、地震の揺れが大きくなるわけやない。たとえそれば、震源につながる地震断層でも、その近くの被害が必ずしも大きくなるわけではない。むしろ、地震時にきれいに割れるぐらい固い地盤やったら、揺れが少ない場合も多い。阪神淡路大震災で、野島断層に引き裂かれながら倒壊せんかった家屋があったことを、思い出してほしい。

では、なぜ原発にとって活断層が危険かというと、野島断層での例のように、上に乗っている構造物を、引き裂く可能性があるからや。たとえば、冷却水のバイプがまたいでいる断層が、妙に動いたら、一気に破断がおこりメルトダウンへ一直線や。コンクリート造りの圧力調整室がカチ割れでもしたら、もっと悲惨や。復水「ボン」で帰らず、なんて言うている場合やないで(度重なる左遷で直らぬ不謹慎)。

こういう理由やから、現状、規制(内規のようなものやろが)されているのは、重要施設を活断層の真上に作ることだけや。1mずれたらOKというわけや。

ここで結論を言うで。上の理由を考えたら、敷地内の断層が活断層かどうかということや、地滑りか断層かということは、たいした問題やないと思う。ヒビの入ったガラスに衝撃を与えたら、ヒビの所から割れがおこりやすいのと同じで、なんらかの割れがあれば、そこが地震時にずれることは否定でけへんがな。地震時に地滑りが起こることは有名な話や。

日本のような地震国に原発を作るなら、敷地内に断層のずれが走ることは、最初から覚悟しておくべきや。人工地盤の技術を進めて、少々のずれなら、原子炉は無事というようにするのが、唯一の解決法やと思う。そして、納得のいく技術が開発できそうもないのなら、きっぱり原発はあきらめること。これがまっとうな議論やろ。

「カツあげ」されて飯の食い上げや、と言って、地元自治体が抗議している場合やないで。え、陰謀論はどうしたって? ……あらら、忘れとった。次の原稿に必ずいれるから、もう、ちょっとばかり待ってもらえんかのう(その3.感動解決編、に続く)。

ヨハネス 山城
通りがかりのサイエンティスト