外貨獲得手段としてのAKB総選挙

齊藤 豊

昨日は、娘を喜ばす為にAKB総選挙に娘を連れて行った。一昨年の武道館(キンタローさんがモノマネをしている前田敦子さんの名スピーチがあった総選挙)に続き2回目の総選挙観覧だった。といっても、マスメディアによく登場するメンバーの名前くらいしか判らない私は、日産スタジアムにいた時間の多くをAKB小銭ちゃりんちゃりんモデルの経済効果を考える事に費やした。

AKB小銭ちゃりんちゃりんモデルの基本的な事項については以前も書いた事があるので、今回は、サービス貿易の側面から考えてみたい。総選挙前の投票期間にある中国人が指原莉乃さんに9,108票の投票をするという情報がインターネット上で流れた。もし、これが本当だとすれば、少なく見積もっても約1千万円相当の外貨が日本に流れたことになる。JKTやSNHなどのAKB海外姉妹グループの活躍は地元経済を潤し、フランチャイズ料などの知的財産権による収入を日本にもたらしている。


AKBグループが海外の若者(昨日の日産スタジアムを見た限りでは、若者以外の中年男女の姿も多かったが、、、)を感動させてお金を使わせる仕組みを考案したことは、製造業の工場が無くなりつつあり、多くの業態がガラパゴス化しつつある日本にとって大きな意味を持つ。グローバルに通用するサービス業がAKBグループによるAKB48システムの海外フランチャイズになる。まず、日本においてコアとなるAKB(秋葉原、東京)を立ち上げ、そのライバルとして国内フランチャイズ展開したSKE(栄、名古屋)、NMB(難波、大阪)とHKT(博多、福岡)を軌道にのせ、総選挙で地元、東京のAKB勢の中に地方、SKE、NMBやHKTの中心メンバーを上位に食い込ませる選抜グループを作ることで地元愛まで上手く使いながら盛り上げていき、それを海外に展開してく。

こうしたAKB小銭ちゃりんちゃりんモデルは、専用劇場や研究生を含めた大人数のグループの維持運営にコストが掛かり、労多くして実りが少ない、と2-3年前まで言われてきた。しかし、最近では、莫大な収入をあげているようにみえる。少女達の「ひたむきさ」を食い物にする悪い大人の匂いがしないでもないが、少女達は、自分の価値がその美貌ではなく、ひたむきさにあり、そのひたむきさがファン獲得につながることを知っているので、マスメディアの前で自分をさらけ出す。有名になりたいという少女達の歪んだ向上心とも言えなくもないが、ファンはそこに感動を見いだす。

1年間かけて既存ファンを満足させ、新規ファンを獲得し、その人達に最低1千円程度を使わせて投票させるAKB総選挙は、いいのか、悪いのか、は別にして、感動をお金に換えるもの凄く効率の良いシステムであることは確か。1位になった指原莉乃さんがファンに使わせた総額は、15万票という獲得票数から少なく見積もっても1億5千万円以上になる。

「感動」を、お金を使ってイヤラシくなく可視化する仕組みとしてのAKBの活動と総選挙は、製造業の無くなりつつある日本において、知的財産権を活かしたサービス業の目指す方向のひとつを示している。日本文化をグローバルに普及させ、感動をお金に換える仕組みがAKBグループにある。世界中の人からお金を巻き上げ、日本にもってくる仕組みとしての「クールジャパン」を考え、実践しよう。