日経ビジネスに興味深い記事が出ています。「テレビ局、本業より副業頼み」。記事の内容はテレビ朝日が2012年の視聴率でゴールデン、プライムタイム共、首位に立ったのに民放キー局の営業利益でみると視聴率低迷が続くフジが今だ1位でテレ朝は4位にとどまる、というものです。
フジが長年民放の中で高収益を誇ったのは視聴率が1982年以降31年間で18年、一位を取り続けた実績で、営業的に良いポジションをとれるというのがバックグランドですが、実際には映画や不動産事業などの収益が本業を支え、2012年度は副業が全体の収益の37%にも及んだというのです。
考えてみればテレビは民放キーステーションという限られたチャンネルを通じた情報提供をベースとするビジネスでした。しかし、その「寡占」はケーブルテレビの参入のみならず、Youtubeなどコンピューター上の動画配信が圧倒的に増えた結果、競争体系が構造的に変わってきたことに適応できるかどうか、というのがポイントだったと思います。
フジはその点、着実にその準備をしながらビジネスの足元を着実にしてきたのだろうと思います。
似たケースとしてソニーがあげられるでしょう。本業が不振でも金融、エンタテイメント事業でつじつまをきちっと合わせているのはある意味、フジのケースとそっくり同じなのです。もしもソニーが本業オンリーで走っていたら今頃、第二のシャープになっていた可能性すらあるのです。
銀行の90年代の本業回帰という指令は企業の財務体質を強くした反面、時代の流れに対しての融通が利きにくくなるというデメリットもあったかと思います。特にビジネスシーンでは昨日までの繁栄は明日の衰退というぐらいのスピード感があります。だからこそ、保険ではないですが、10のビジネスを持っていてその中で二つか三つで大半の稼ぎを生み出すというスタイルが生きてくるのかもしれません。8:2の法則がまさにぴったり当てはまるのではないでしょうか?
確かに私も不動産事業を通じて世界中どこにいても収益は入ってきます。さらに各種事業もありますし、投資収益もあります。今年、新たに日本で事業準備に着手しましたので今後、手持ちの事業のどれかが手詰まりになっても全部だめになるというリスクは少ないのです。ではなぜ日本か、といえばカナダでのビジネスリスクのヘッジをしているのです。今、さらにアメリカでの事業も検討しています。
ではコアビジネスにこだわらないのか、といえばそんな悠長なことを言っている時代ではありません。富士フィルムという会社が写真フィルムからどう変遷してきたでしょうか? もしかしたらフィルムをコアにこだわり続けてきたコダックの倒産と同じ道を歩んでいたかもしれないのです。企業は時代の成長に合わせながその立ち居地をどんどん変えていかねばならないということなのではないでしょうか?
ところでこれを個人ベースに当てはめるとどうなるでしょうか? ほとんどの方は給与所得のみだと思います。これを複数にできれば申し分ないのです。一昔前、アパート経営が流行りましたが、理由はサラリーマンを辞めても病気をしても家賃は入ってくる、というのが最大の売りでした。
では、複数の収入を、といってもアパート経営にすぐ入り込めるわけではありません。しかし、株式投資や為替は小額からでも参入できますし、ネットビジネスも時間の間隙をついてできるでしょう。週末起業というのも流行りました。数ある方法の中でまずはビジネスのセンスを磨くことからスタートしてみたらどうでしょうか? 階段を一歩一歩上がっていくような感じで進んでいけば10年もすれば皆さんの立ち居地も変わってくるかもしれません。そしてこれが一番大事なのですが、自分の強みを磨き、会社をリストラされても引く手あまたの自分を作ることではないでしょうか?
今日はこのぐらいにしておきましょう。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年6月16日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。