開催されているG8での宣言は世界経済の現状について「米国、欧州、日本の政策努力で下振れリスクは減少したが、世界経済の成長見通しは引き続き弱い」と指摘。持続可能な成長や雇用の回復を実現するため、各国が構造改革に引き続き取り組む必要があると強調、とあります。
文面を平易に捉えると日米欧は底堅いものの、それ以外の国での成長率が十分ではないという懸念を読み取ることが出来ます。「地球規模の前向き回転の経済」とは先進国から発展途上にある国まで一定のプラス成長が安定的に見込まれることだろうと思います。一定のプラス成長とは先進国と途上国では違いがあり、先進国ならば2-3%の水準を保つこと、途上国ならばそのレベルに応じて10%以上から7-8%程度の高い成長率を期待するものです。
なぜ発展途上にある国の成長率が高いかといえばいわゆるボトムアップが期待できるからであり、低賃金→輸出向け軽製造業の発展→重工業へのシフト→内需拡大→安定成長というステップを踏むことが期待されるからと思います。その中で内需拡大に繋がるぐらいまでのステップでは外資主導で輸出産業が大きく育成され、それに伴い、インフラが強力に整備されるため、経済成長は極めて高い水準を維持できるのです。
また、国民生活においても一歩上の生活を常に夢見ているため、所得増は消費増に繋がりやすいこともあげられましょう。
ところが一定の成長に達するとインフラの整備はひと段落し、民間投資も一時ほどの伸びは欠くことが増えてきます。このあたりから成長率は急激にブレーキがかかり始めるのですが、国によっては先進国入りする前にブレーキがかかってしまうこともあります。これがG8で懸念される地球規模での経済成長の歯車が十分に回転していないということかと思います。
具体的例を挙げれば、まず、GDPベースで先進国トップグループ入り前に成長が鈍化している韓国やBRICs諸国、また欧州でも南欧の失業率は引き続き高い水準であるわけで地球儀ベースで見ればその色は実にまだらに見えます。
世界はアジアの時代と言われながらも最近はアフリカが注目の的であり、特にナイジェリアの成長率は目を見張るものがあります。この流れが今後強く出るならば東南アジア諸国も開発途上の粋を抜け出さないうちにはしごをはずされ、アフリカにアカウントが流れる公算すらあります。
日本企業は昨年あたりからようやく中国からプラスワンと称して東南アジアへシフトが進み、メコン川を中心に当東西、南北道路を含むインフラの整備が進みつつあります。特にインド洋と太平洋を結ぶ幹線の整備は東南アジアの活性化に大きな威力となるはずです。
しかし、企業の浮気心、一歩先への好奇心は経済発展のスピードよりはるかに早いと言わざるを得ません。それが今、まさに始まったアフリカブームなのです。これが結果としてどうなるかといえば残念ながら世界の差別化が進んでしまう結果を生む公算が出てくると思います。
G8やG20で今後、十分検討しなくてはいけないのは歯車を止めないことだろうと思います。以前、私は世界ブロック化経済は昔と違い決して悪い意味ばかりではないと書かせていただきました。この意味をもう一度考え直せば日欧米が先進国としてのリーダーシップを地域内で取りまとめながら地球規模でバランス力のある経済発展を進めるには案外、効力を発するのではないかと思っています。
今日はこのぐらいにしておきましょうか?
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年6月18日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。