5月の消費者物価指数(CPI)が発表された。コアCPI(生鮮食品を除く総合)は7ヶ月ぶりに0%になったが、エネルギーを除くと-0.4%。つまり電気代が8.8%上がったおかげでデフレが止まったわけだ。
これはまだ始まりに過ぎない。輸入代金の値上がりはすぐには起こらないが、ここ8ヶ月で2割近く上がったドルの影響は、これから確実に出てくる。特に原発の停止で電力会社のコストは2割以上も上がっており、そこにドル高が加わると貿易赤字が4兆円以上ふえる。GDPの0.8%が、これだけで吹っ飛ぶ。
さらに来年4月には消費税が3%ポイント上がり、2015年には5%ポイント上がるので、これによって物価は3%以上あがる。そこに日銀が2%のインフレを上乗せすると、5%以上の物価上昇という石油危機のとき以来の大インフレになる。こんな政策を喜ぶ人が、リフレ派以外にいるのだろうか?
おそらく来年、本当にインフレが始まると国民の反発が強まり、政府が日銀に対してインフレ目標の見直しを要請するだろう。どのみち不可能な目標なのだから、「2015年に消費増税を含めて2%」と変更してはどうだろうか。これなら達成は100%確実だし、むしろ物価抑制策として歓迎されるだろう。