国会議員活動データ分析 優秀な議員は、若いうちから議員にする事で育つ?

高橋 亮平

いよいよ明日、参議院議員選挙が公示される。こうした中、国会議員は実際にどのような活動をしているのか、その活動データの公表や、実際に国会議員が行っている質問の評価をすることで、有権者の参考にしてもらえればと思う。

この第1弾として、先日、「国会議員の活動データを集積する会」 http://www.facebook.com/giindata として参議院議員の国会活動ランキングを発表し、そのデータを元に『国会議員三ツ星データブック2013年参議院選挙版』がkindleで出版された。

単純に投票する際の参考データにするのももちろんだが、私たちの国では、権力の行使を国民自らが行うことができない。日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動する事になっており、自分たちに変わって権力を行使してもらうことを考えれば、やはり国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関である国会の中で、しっかりと活躍できる国会議員を送り出す、さらには、そうした国会議員を育てて行くことが、有権者にとって重要ではないだろうか。予言者でもない限り、将来の国会議員を予言することはできないが、天気予報と同じように過去のデータから傾向を考えていくことはできる。

有権者の一人ひとりが、自分たちの国を将来どうしていきたいのか、そのためには、どの議員を国会に送り出し、育てることが一番良い選択肢なのかと、それぞれに「国会議員予報」を考えてもらえればと思う。そんな中、有権者の1人として、こんな分析もできるのではないかと、世代や期数から傾向を分析してみた。


参議院議員237人を対象に、国会質問30回以上、議員立法提出2回以上、質問趣意書提出件数19件以上の議員に☆一つずつ、対象期間に議長・副議長・委員長・大臣・官房長官を務めた議員にも☆1つ付け、最大☆3つで評価した。

世代別に☆がついた傾向を見ると、最上位に位置づけられる☆3つは、40代が最多で、40・50代で63.7%を占めている。☆2つになると、最多は50・60代に、☆1つになると60代へと世代がシフトしていた。一方で、☆がつかなかった議員を世代別に見ると、40代がピークになっている。

ただ、こうしたデータは、そもそも世代ごとの議員の数が異なるため、世代ごとに☆のつき方の割合を見てみた。すると、30代の70%を☆がつかなかった議員が占めており、この割合は、年齢が高くなるほど少なくなる事が分かった。簡単に言えば、年齢が若いほど、議員活動が活発でない議員の割合が多くなるという事になる。これだけ見れば、「やっぱり若い議員はダメだ」「人生経験のある議員を選ばなければ」という事になるが、一方で、☆3つのいわゆる「議員活動が活発な議員」、このランキングの中では「優秀な議員」として位置づけられている議員を見ると、その割合は、全く逆になる。30代議員の☆のつき方を世代内割合で見ると、☆3つの議員が10.0%と他の世代より圧倒的に多く、年齢が若いほど、その割合が多いということが解った。

年齢とは別に、議会の中で意識される事の多い、議員の期数別でも見てみた。

最上位に位置づけられる☆3つは、1期が54.5%と過半数以上を占めており、4期以降で☆3つの議員はいません。☆2つを見ても、3期までで全体の82.4%、☆1つも3期までで81.0%を占めており、国会質問や議員立法、質問主意書といった活動は、期数の少ない議員の方が熱心である事が解った。

しかし一方で、☆がつかなかった議員を世代別に見ると、1期だけで66.7%も占めており、2期までで85.1%にもなっている。このことからすると、圧倒的に多いこうした活動をほとんどやれていない議員もまた1期生の議員であることも解った。

さらに、今回☆が3つと、2つになった議員の初当選時の年齢を見る面白いことが解った。☆3つの議員は、1名を除く他全員が、30・40代で初当選していたのだ。

世界的に比較しても大きな負担になっているこの国の借金の問題や、社会保障の問題等、世代間格差の問題が指摘される中で、当事者であり、長期的な視点でこの国のことを考えることのできる若い議員を排出する必要を感じていたが、今回の視点でも、若くに当選させ国会議員を育てていく必要性も見えた。

今回は、世代や期数等の視点からデータを活用してみたが、有権者それぞれが自分なりの分析や、選挙で投票する前に、少なくとも自分の応援している議員がどれだけ活動してきたのかとこうしたデータ等も活用してもらえるようになれば、この国の政治も少し変わるのではないかと期待する。