アゴラ研究所の運営するエネルギー研究機関GEPRはサイトを更新しました。
今週のアップデート
1)期待される海水からのウラン捕集研究の現状–日本の豊かな海の活用法
独立行政法人日本原子力研究開発機構の研究者である瀬古典明氏の寄稿です。陸上のウランの可能な利用料は約100年以内とされています。しかし、海水からウランを補集する研究が、進んでいます。日本の海がウラン、そして他の鉱物資源獲得の場になる可能性があります。
実は使用済核燃料を利用してエネルギー源にする核燃料サイクルは、ウラン資源の枯渇が推進理由の一つです。この研究が深まり、海水ウランの商業利用が実用化されれば、その前提が覆る可能性があります。
2)海外の太陽、風力エネルギー資源の利用拡大を図ろう(上)(下)
提携する国際環境経済研究所(IEEI)の塩沢文朗主席研究員(元内閣府大臣官房審議官(科学技術政策担当))の論考です。日本だけの自然エネルギーでは、気象条件から利用量に限界があります。その解決策として、水素などによるエネルギー運搬の可能性を紹介しています。
3)おやおやマスコミ–新聞はエライのか!活断層問題から考える
GEPRは日本のメディアとエネルギー環境をめぐる報道についても検証していきます。エネルギーフォーラム7月号の記事、ジャーナリスト中村政雄氏のコラムを転載します。中村様、エネルギーフォーラム関係者の皆様に感謝を申し上げます。
今週のリンク
原子力関係者でつくる日本原子力学会シニアネットワークの公開シンポジウム。8月3日開催です。JR東海の葛西敬之会長、日本GEPRに寄稿いただきました金子熊夫氏など、原子力をめぐる識者が集います。GEPRではシンポジウムの報告をする予定です。
今回掲載のコラムでは、再生可能エネルギーを使ってつくった電気を水素にして運搬するという構想が紹介されました。千代田化工建設が簡易な水素運搬技術を開発しています。同社による技術紹介のサイトです。再エネの普及で、日本企業の技術力に期待しましょう。
3)原子力規制委:下北沖「活断層の可能性」 島崎委員長代理
毎日新聞7月26日記事。原子力規制委員会は、重要な問題である活断層の検証について、委員会の決定ではなく、メディアに委員の個人的見解を伝えています。同委員会は、一連の活断層騒動を含めて、同委員会の規制の適用、運営方法には、多くの問題があります。
関西電力機関誌に掲載された論文。フランスの原子力規制の背景にある思想をアンドレ=クロード・ラスコト仏原子力安全規制当局( A S N )前 委 員 長が紹介しています。仏では06年設定の安全基準を、事業者の体力や原発の状況に応じてまだ全適用していないそうです。そして事業者との対話を重視するそうです。独善的と批判を集める日本の原子力規制には、大いに参考になるでしょう。
7月27日掲載の読売新聞社説。汚染水が東電福島第一原発から漏れだしています。その量は微量ではあるものの、東電はその流失、さらに公表で手間取るなどのミスを連発しています。その反省、さらに政府の支援による事態の改善を訴えています。この考えは妥当でしょう。
NHK7月23日放送。放射性物質の除染、産業技術総合研究所のグループが、約5兆円になるとの試算を示しました。政府は費用を示していません。コストと効果についての検証が必要です。