史上初! 新興国+開発途上国のGDP、先進国超え!? --- 安田 佐和子

アゴラ

米4~6月期国内総生産(GDP)改定値、市場予想の2.2%増に対して2.5%増でしたね。数字だけみると、強含みにみえます。エコノミストの評価はと申しますと……。

BNPパリバのジュリア・コロナド米国担当主席エコノミストは、「純輸出と在庫投資が寄与した程度で、資産効果を増税効果が打ち消し消費の伸びを抑えたほか、設備投資もさえなかった」と指摘。米成長のモメンタムには楽観的になりきれないと示唆し「米7~9月期GDP予想を1.8%増で据え置く」とまとめています。コロナド氏は量的緩和(QE)縮小の開始を12月と予想するだけに、慎重そのものです。

半面、9月のQE縮小を見込むJPモルガン・チェースのダニエル・シルバー氏も「4~6月期に予想外の増加を示した在庫投資は7~9月期に反動で鈍化する」と分析していました。早期のQE縮小に照準を当てながら、バラ色の未来予想図を描いていないんです。

アメリカ経済の回復が緩やかにとどまる陰で・・・100年に一度の未曾有の危機が先進国から途上国まで震撼させた2008年9月以降、世界経済の潮流は大いなる変化を遂げてきています。

認識はありましたが、まさかこんなに早くこの日を迎えようとは・・。

クォーツが国際通貨基金(IMF)の基準に則し推計したところ2013年、新興国・開発途上国を構成する約150ヵ国の購買力平価(PPP)ベースでの国内総生産(GDP)は44.4兆ドル(4364兆円)と、先進国34ヵ国の42.8兆ドル(4207兆円)を上回る見通しなんです。

新たな時代の幕開けを示す兆候なのか?

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先進国の代表であるアメリカ、新興国・開発途上国の親玉ともいうべき中国。それぞれ約30%のシェアをもつ両国を除いた場合はといいますと。

新興国+開発途上国が先進国を抜き去ったのは、2009年。

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新興国+開発途上国の数が150ヵ国と先進国の約5倍であるほか人口も先進国を凌駕するだけに、合算したGDPでは大雑把過ぎるという方のために、こちら。1人当たりでのPPPベース・GDPでは、ご想像どおりガラリと様相を変えます。

新興国+開発途上国の1人当たりPPPベースのGDPは、7415ドル(72万8890円)だったんです。G7、ユーロ圏と一部の欧州、台湾、香港、韓国、シンガポールを含む先進国はといいますと……4万1369ドル(406万6660円)でした。

GDPとは正反対、スプレッドは拡大の一途をたどります。

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国の勢いと国民生活のレベルの違いに、愕然としますね。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2013年8月31日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。