今週のアップデート=IPCC公表を機に、温暖化問題に再注目を(2013年9月9日)

GEPR

アゴラ研究所の運営するエネルギー研究機関「GEPR」(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。

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今週のアップデート

1)地球は本当に温暖化しているのか–IPCC、ポスト京都を考える()(

「GEPR」を運営するアゴラ研究所は、インターネット放送「言論アリーナ」を提供しています。9月3日は1時間にわたって「地球は本当に温暖化しているのか–IPCC、ポスト京都を考える」(YouTube)を放送しました。その報告記事を提供します。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が9月に気候変動をめぐる報告を発表します。これをめぐり、国立環境研究所の気候変動リスク評価研究室長を務める江守正多さん国際環境経済研究所の所長である澤昭裕さんが出演。モデレーターは、アゴラ研究所の池田信夫所長が務めました。IPCC報告の見通し、そして温暖化政策の現状を分かりやすく解説しました。

2)IPCC報告書のリーク報道をめぐって

放送に出演した環境研の江守さんに寄稿いただきました。今回の放送で言い足りなかったことの補足と、IPCCの草稿が米英のメディアに漏洩したことで誤解が出ており、その解説をしています。

3)誤解だらけの原子力発電所40年運転期間制限

放送に出演した国際環境経済研の澤氏のコラムです。テーマは違い、原発についての論考です。40年で運転を区切る問題について、科学的検証がほとんど行われていないことに、疑問を示すコラムです。国会でも、原子力規制委員会でも、検証が行われていません。

4)福島原発、汚染水は健康への影響なし

汚染水問題が騒がれています。その実態は、計測データを見ると、幸いなことに、健康に悪影響を与えるようなものではありません。その事実を認識して、対策を考えるべきではないでしょうか。

映像資料

「地球は本当に温暖化しているのか–IPCC、ポスト京都を考える」「https://www.youtube.com/watch?v=Laok-t9zoBs

13年9月3日放送。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が9月に気候変動をめぐる報告を発表します。これをめぐり、国立環境研究所の気候変動リスク評価研究室長を務める江守正多さん国際環境経済研究所の所長である澤昭裕さんが出演。モデレーターは、アゴラ研究所の池田信夫所長が務めました。

今週のリンク

1)福島第1原発事故:菅元首相ら政府、東電幹部は全員不起訴

毎日新聞9月9日記事。福島原発事故について、業務上過失致死傷で告訴・告発された東電と政府の幹部について、検察当局が全員不起訴の決定をしました。事故については社会的、道義的責任は免れないものの、刑事訴追は難しいことは以前から指摘されていました。

2)福島第一原発における汚染水問題に関する基本方針

首相官邸、9月3日公表資料。この日、政府は国費の470億円の支出による汚染水の遮断対策を発表しました。汚染水の海への遮断を完全に行うなど、徹底的な工事を行う方針です。

3)核廃棄物問題の停滞を止める時だ

ニューヨークタイムズ8月20日社説。原題は「Time to Stop Stalling on Nuclear Waste」。8月下旬に、米連邦控訴裁判所が、「NRC(米原子力委員会)は米政府のユッカ建設許可申請(ブッシュ政権末期の2008年に提出)の審査を、予算が不十分だという理由で拒否し、同計画を一方的に廃棄に追い込んだのは違法である、NRCは核廃棄物政策法に従ってDOEの申請を速やかに審査すべきである」との判決を2対1で下しました。ユッカマウンテンとは、米国ネバタ州で建設が内定していた核廃棄物の最終処理施設の予定地です。

独善的な政策遂行が批判されたNRCのヤツコ前委員長時代に、かなり強引に計画は中止となりました。判決を機会に、その決定をもう一度見直せという主張です。日本でも核の最終処分場の選定は混迷しています。日米どちらが、先に解決を行えるでしょうか。

4)安倍外交への15の視点- -リアリズムの追求を

政策シンクタンク東京財団の提言です。東京大学の北岡伸一教授などが中心になってまとめました。その中で「日本の原子力技術は、世界的な核不拡散体制の維持・向上を図るためにも重要だ」という視点が入りました。また事故からの教訓、廃炉などの技術獲得を進めるべきことを提案しています。

5)福島からの放射能について

米国のウッズホール海洋研究所のサイト。西海岸にある米国の最大の海洋研究所です。一般向けのサイトページで、海産物の太平洋への影響について紹介しています。原題は「Radiation from Fukushima」。日時は記されていませんが、2013年の情報が出ています。米国人の食べるマグロや海の利用で、健康被害の影響は考えられないとしています。

6)北西大西洋の海水におけるセシウム、ヨウ素、トリチウム–福島とこれまでの放射性物質の大気拡散の比較(要旨)(英文)

米国の学術誌「Biogeosciences」の第10号。要旨のみ。原題は「Cesium, iodine and tritium in NW Pacific waters – a comparison of the Fukushima impact with global fallout」。1960年代の核実験による放射性物質の拡散、70年代の中国の核実験、1986年のチェルノブイリ事故と、福島事故を比較しています。要旨によれば、60年代より、汚染量は少ない数値しか出ていないそうです。核物質は地球上から影響はなかなか消えないものの、海による拡散で、海水での濃度は薄まっていきます。