ギャラップは9日、共和党の支持率が1992年の統計開始以来で最悪だったと発表しました。オバマ米大統領との会合を前に、米下院の共和党指導部の強硬姿勢を崩す一因になったのではと想像してしまいます。ベイナー米下院議長は6週間の債務上限引き上げ案を提示しましたしね。著名投資家ウォーレン・バフェット氏をして「共和党は火遊びをしている」と非難せしめてましたが、ようやく歩み寄りへの第一歩を踏み出しました。
ではオバマ米大統領率いる民主党指導部と共和党指導部との会合、気になる戦果はといいますと。
1時間半にわたる協議につき、ホワイトハウスは声明で「いずれの決定もなされなかったが、双方との協議継続を期待する」とまとめていました。会合に参加したライアン米下院予算委員長(ウィスコンシン州選出)は、「オバマ米大統領はイエスともノーとも口にしなかった」ものの、「実りのある協議で、交渉は始まったばかりだ」と手ごたえをみせています。キャンター米下院院内総務(ヴァージニア州選出)も話し合いを評価した上で、暫定予算案の策定を中止し戦略の練り直しを検討すると発言していました。
会合に列席し、CNBCのトークショー「カドロー・アンド・カンパニー」に生出演した共和党会議の副議長、リン・ジェンキンズ下院議員(カンザス州選出)も、「月曜にも一部の政府機関が再開するだろう」と楽観的な見解を明らかにしていたんです。
こうした見解、「オバマ米大統領は共和党指導部との会合にて6週間の債務上限引き上げ案で合意できず」とするニューヨーク・タイムズ(NYT)紙をはじめとしたメディアの報道内容とは対照的でした。
オバマ米大統領はギャラップの世論調査に胡坐をかいて、共和党の譲歩を突き放すつもりなのでしょうか?
ベイナー米下院議長としては、譲歩した面子を保ってほしいはず。
ギャラップだけでなく、こんな調査が出ると欲が出てきたのでは?なんて邪推してしまいます。
調査会社パブリック・ポリシー・ポーリングが民主党寄りの草の根運動ムーブ・オンの依頼を受けて実施した世論調査で、2014年の中間選挙を前に興味深い内容が浮かび上がったんです。
米下院の24選挙区を対象に10月2~4日に行った調査によると、共和党議員が当選した17選挙区にて民主党の対抗馬が議席を奪取する勢いなんです。おさらいをすると現状で米下院435議席中、共和党は232議席、民主党は200議席。民主党が17議席を確保すれば僅差ながら見事、民主党が多数派に逆転するんですよね。国勢調査の時期と重なった2010年の中間選挙で共和党が下院で勝利した結果、ゲリマンダーつまり選挙区割りは共和党に有利に働くよう変更されました。一連の議会こう着を経て、本番の選挙でアナロジーが覆されるのか。オバマ米大統領は、このチャンスを捉え選挙につなげたいところでしょう。
来たる中間選挙を控え、オバマ陣営は敵失をフルに有効活用したいはず。ということは、6週間の債務上限引き上げ案を頭から拒否するとは思えません。
とはいえオバマ米大統領とリード米上院院内総務が、政府機関の閉鎖が一部で継続する案を「受け入れられない」と切り捨てていることは事実。今度「火遊び」すると批判されるのは、オバマ政権側になるのか?共和党議員向けスパ付き専用ジムが政府機関の閉鎖の真っ只中でも通常オープンという不可解な状況とあって、一部の再開を飲み込めないことは理解できますけどね・・。
ロイターは会合後、10日遅くの下院議事運営委員会より前に短期的債務上限を引き上げ法案を持ち込む予定はなく、早ければ同日遅くにも下院を通過する期待が遠のいたと報じています。政府機関の閉鎖長期化とデフォルトへの危機が完全に払拭されたと判断するのは、早計のようです。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2013年10月11日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。