韓国、戦時徴用に3件目の賠償命令。ブレずにボールを韓国政府に投げ返そう --- 片山 さつき

片山 さつき

残念ながら、というか、予想されたことが、というか、今年7月のソウル高裁の新日鉄住金への賠償命令に続き、同じ月の三菱重工、そしてついに、1日、光州高裁で、戦時中に「女子勤労挺身隊員」として日本で強制労働させられた韓国人女性と、その遺族1人に対して、女性1人あたり1億5千万ウオン(日本円約1380万円)の支払いを命じる判決が出されました。


女子挺身隊に対する判決は初めてで、当時13歳から14歳だったことや、強制労働の期間を考慮して、従来の判決より金額が高くなっています。
 
7月に、私はただちに外務省の担当局長・新日鉄住金幹部と話をし、「絶対に和解せず、争うべき」と申しました。菅官房長官も「日韓間の財産請求権問題は、解決済み」と一貫してつっぱねるコメントで、安倍総理のご指示も、本件では明確に「この件は、淡々と、ぶれずに、しっかり」ということです。

日韓は、1965年の国交正常化時に、日本側からの5億ドルの経済協力を盛り込んだ請求権協定を締結し、「両国及び両国民間の請求権問題が「完全かつ最終的に解決された」」と、確認しています。、

この3件目の判決で、最高裁にあたる韓国大審院が「個人の請求権は消滅していない」という、従来の流れをひっくり返す判断を昨年5月に出したあとの、韓国における個別賠償訴訟での日本企業敗訴の流れが出来てしまったと思います。

悪いことに、大審院の判断後、新たに訴訟が4件も提起され、今後も増える可能性があります。

新日鉄住金も、三菱重工も控訴していますが、当初越年と言われていた大審院による判決は、年内に早まる可能性も取りざたされ、今の流れでは、高裁の判決が容認されて、確定されてしまう可能性が高いです。

そのときに、企業として、そして、国家としての対応が問われることになります。

7月に夕刊フジのインタビューやネットでも申し上げたように、「まずは支払わない」という態度をとるべきです。

一部の新聞では、日本企業も、韓国内資産の差し押えになると、取引先が迷惑するので、和解に応じるのでは、との見方がされていますが、これは一企業としては、そういう判断がありえなくはないかもしれませんが、請求権協定は国家が決めたことであり、ここからは、国家が前に出るべき話です。

5億ドルの金で、韓国政府が必要なら被害者救済をすべきであったので、日本政府としては、「韓国政府が解決すべき問題」という態度を崩してはなりません。

すでに、このことは政府間では伝達されているのですが、返答は芳しいものではないようです。
 
日韓請求権協定には、3条に仲裁委員会の規定があり、日本としてはこの開催を主張することはできますが、韓国側が出てこなければ開かれません。

国際司法裁判所という手もありますが、これも韓国が出てこなければ、開けませんが、国際的に韓国司法のおかしさをうったえるという効果はあるでしょう。

ここで、韓国の弁護士会が提案している、自分勝手極まりない「両国政府と日本側の被告企業、韓国側の国交正常化で利益を受けたポスコのような企業が資金を拠出して、財団をつくる」という新聞報道された解決策を敢えてご紹介しましょう。

韓国で韓国政府に申告した強制徴用被害者は、22万人もいるそうで、すべてを裁判で解決するには時間がかかるから、財団で払ってうやむやにしろ、ということらしいのです。(笑)

韓国法曹界のトップがこれですから、この事件のいかがわしさがよくわかるし、日本側が本当に突っぱね続けた場合、韓国内の資産が差し押さえる、というなら、やってみろ、ということではないでしょうか。

「それでは企業が困るだろう、」と韓国の弁護士会が言うのは、韓国企業から日本企業への売掛債権の差し押さえがあった場合、その後両社間にトラブルがのこり、商売に支障が出た場合、本当に困るのはどちらか、ということが薄々わかっているからではないでしょうか。「困る企業」が日本側ではなくて、韓国側だったとしたら。

ここは、国を挙げて、国際法上ゆるされているはずの、同様の対抗措置、をとることも、視野に入れるべきでしょう。

勿論、企業に対しては、株主に問われても、きちんと答えられるような理由を国家として示せるようにすべきである、ことは言うまでもありません。

片山 さつき