「口コミ」の正体

村井 愛子

口コミのほとんどは、「口コミ」じゃない

ソーシャル時代になって、口コミが重要とかバイラルプロモーションが重要とか言われています。「口コミ」と聞いてどういうモデルを思い浮かべるでしょうか?面白い写真や記事を、みんなが拡散していって広がるイメージでしょうか。実は、「口コミ」と呼ばれる現象には大きく分けて2つのパターンがあります。
ツイッターを例に挙げて説明しましょう


1.有名人がつぶやくと拡散する
この図を見てください。真ん中の黄色い〇は、ホリエモンさんみたいにフォロワー数が多い人です。ツイッターを図にすると、中心にたくさんのフォロワーを抱えている人がいて、裾野が広がる形になります。この中心にいる人を「ハブ」と呼びます。このハブがツイートすれば、この人をフォローしている人たちに一気に伝わり、短時間で情報が拡散するのです。

2.みんなが共有したいと思うと拡散する
では、ハブではない人がツイートしたらどうなるでしょうか。あっという間に末端に到達してしまいました。この先っちょにいる人がツイートしても、フォロワーがいないのでもう拡散しません。では、ハブではない人がツイートしても拡散しないのでしょうか。

実は、ハブを中心とした塊りはいくつもあり、この図のように緩くつながりあっています。なので、他の塊りに到達すれば、その他の塊りの中でまた拡散されます。このように塊りをまたいで拡散されていけば、たくさんの人に伝わります。

ただこの場合は、情報そのものが強い拡散力を持っていなければなりません。みんなが「広めたい」と思う情報は、「良い話」「インパクトが強い写真」「ネタ」等、誰もが理解できる内容に限定されます。

ツイッターを例に出しましたが、Facebookでも何でも同じ構図ですし、サイトに置き換えても同じことが置きます。サイトに置き換えると中心にYahoo!があって、その他のサイトがYahooにぶらさがってリンクで繋がっていきます。ゆえにYahoo!に掲載されると拡散力が強いのです。

ということで拡散の種類は2つあるのですが、1つのめの「有名人(ハブ)がツイート」というのは、厳密に言うと口コミとは言えないですよね。こういう影響力の強い人=インフルエンサーに言ってもらうのは、前からありました。それがインターネットの力を借りて、規模が大きくなった(人によっては100万人のフォロワーがいる人もいますから)だけです。

2つめの「みんなが共有したいと思う」拡散の場合は、とにかくネタ的なものが広まりやすいです。橋本徹さんが「スマイルプリキュア」とつぶやいて10万リツイートを超えたというニュースがありましたが、誰しもが面白いと思うコンテンツは、知識のハードルがあると難しいのでネタに集約されやすいんですね。

日本人はシェアしない

Mary Meekerさんというウォールストリートの証券アナリストのレポートによると、日本人はシェアしないと書かれています。

見てください、この右の方に小さくダントツ最下位に位置する日本のポジションを。これは「オンラインで全て、もしくはほとんどシェアする」と答えた人の%です。シェアすることが必ずしもいいことと決めつける気はないのですが、時代の流れとともにシェアすることに抵抗感がなくなってくるのは否めないので、そういう意味では日本はまだまだ世界のデジタル化による「つながる」利便性を享受しきっていない気がします。 ランキングの高い国々をみても、比較的国民性としては内向的と思われている国や、インターネット環境がまだまだ充実していない国も高い数値を出していたりもするので、それらにも増して日本人がシェアすることに抵抗感があるというのは意外な、かつ興味深い事実です。

例えばホリエモンさんのフォロワーは97万人以上いますが、ツイートがリツイートされているのはだいたい10~20で多くても100。最近物議を醸した「ブラック企業が嫌だったら、辞めればいい」に関連したツイートも256リツイートです。フォロワーに対する割合で見ると、たったの0.026%です。

このあたりから見ても、日本人がシェアしないのは事実だと思うし、一般的に「口コミ」とか「バイラル」と言われる現象は、ほとんどが大きなハブから拡散されてるだけんじゃないかなーと思いますね。

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(@toriaezutorisan)
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