アントニオ猪木議員の動向は日朝関係にどう影響するか

アゴラ編集部

日本維新の会所属の参議院議員、アントニオ猪木氏が来年早々に再度、北朝鮮へ行くようです。同氏は11月に参議院の許可を得ず、北朝鮮を訪問し、問題になりました。11月の訪朝では、先に「粛清」処刑されたチャン・ソンタク(張成沢)とも会談してきたらしい。こうした「事件」の前後に北朝鮮へ行くアントニオ猪木氏の「役割」とはいったい何か、いろいろと取り沙汰されています。


同氏の訪朝は1994(平成6)年以来、27回になるんだが、当方も制作に携わった著書『俺の魂』の中で、そのきっかけは「力道山」だったことを語っています。力道山はアントニオ猪木氏にとって17歳で弟子入りした「師匠」であり、雲の上の「憧れの人」だったらしい。力道山が北朝鮮出身というのは、最初の訪朝の直前まで知らず、ずっと日本人だと思っていたそうです。

東京、池上の本門寺に力道山のブロンズ像があります。アントニオ猪木氏は、韓国と北朝鮮にも力道山の銅像を建てたい、と言っている。ようするに、南北朝鮮の「統一」を目指し、日本と統一朝鮮との友好を育む、というのが同氏が目指す理想のようです。そのために何度も南北朝鮮へ足を運んでいる。もちろん「清濁合わせ呑むべき」という政治の世界。単純にスポーツ友好のため、統一のためだけの行動ではないのかもしれません。

ただ、個人的に何度か会った印象では、アントニオ猪木氏自身はわりとピュアな人物です。しかし、周囲にはいろんな陰が見え隠れする。プロレスというのはもともと「興行」の世界で、裏世界や反社会的な勢力と接近しやすいシロモノ。こうした勢力に「在日」の存在は否定できない。それらの影響から同氏が逃れられないのは当然かもしれません。

北朝鮮がらみでは朝鮮総聯ビルの入札問題が、落札したモンゴル企業が購入断念するなど以前、解決されていない。これについては当コーナーで書いたとおり奇々怪々。今回の「粛清」後の訪朝、同氏自身は知らされなくても何らかの「任務」を負っている、と解釈したほうが自然です。ひょっとすると同氏の動向により、拉致問題の解決など、チャン・ソンタク後の日朝関係に大きな変化があらわれてくるかもしれません。

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アゴラ編集部:石田 雅彦