テーパリングの何が問題か

小幡 績

テーパリング、米国FRB量的緩和の国債などの毎月の買い入れ額の縮小がいつ起こるかを巡って議論が高まっている。

要は、今晩かどうか、ということが今の話題なのだが、そもそもテーパリングの何が問題か。

何の問題もない。

良くも悪くもない。

実体経済には何の影響もないはずのものなのだ。

ではなぜ騒ぐのか。

影響が大きいからだ。

どういうことか。


米国中央銀行は、毎月、米国債と住宅ローン担保証券を買い入れている。

これまで大量に買い続けてきたから、これらの債券はFEDのバランスシート上に溜まっている。だから、これをFEDはバランスシートポリシーと呼び、量的緩和とは呼んでいない。量的緩和とはマネー供給量を直接増やすことを目標とするものだが、FEDはそうではなく、買い入れることが目的であり同時に手段なのである。すなわち、量的緩和は目指していないのだ。

目指しているのは、金利低下だ。住宅ローンの金利低下による住宅投資の増大。それに尽きる。そして、それを根底から支える米国国債金利の安定化。

しかし、実際には後者は機能しない。金利は上昇しているからだ。それはいい意味での景気回復期待の顕在化と捉えられている。したがって、実弾は住宅ローンの金利低下、それを目指す債券購入だ。

だから、テーパリングとは、この買い入れ額を減らすことにあるが、まだ売るわけではない。満期がきたらロールオーバーしてきた。今後は、テーパリングするとしても、とりあえず、新規の購入額を減らすだけだ。

一方、米国住宅市場は過熱と言ってもいいほどの勢いで、価格は前年比で20%以上の上昇となっている地域も多い。したがって、何も恐れることはないのであり、実体への影響はゼロである。

では、なぜ騒いでいるか。

それは、短期筋が、これを材料に、乱高下させて一山儲けようとしている、といういつもの構図であり、それだけのことなのだ。

だから、テーパリングは無視していればよいのだ。