米12月新車販売台数は、 フォードとクライスラーが前年比で増加しましたが、ゼネラル・モーターズ(GM)は減少しました。軒並み、予想以下に終わっています。積雪という悪天候に加え、例年より後ろ倒しになったブラックフライデーに伴い販売促進を11月に強化した反動が現れたようです。米連邦公開市場委員会(FOMC)が量的緩和(QE)の縮小を発表し金利上昇を招いたことも、意識されたのかもしれませんね。
2013年全米新車販売台数でみると、前年比7.6%増の1560万台でした。米自動車情報サービス会社エドマンズ・ドットコムの予想1550万台を上回り、07年の1610万台以来の高水準を達成しています。ただし、ブルームバーグ予想の1580万台には届きませんでした。
14年について、エドマンズは強気へギアを入れています。13年10月8日時点で14年新車販売台数を「1640万台」とし、06年の1650万台に次ぐ記録を予想しているんですね。自動車価格情報サイトのケリー・ブルー・ブックは、14年につき「1630万台」と予想。2008年の金融危機で高まったペントアップ・ディマンドが解消されつつあり、金利が上昇するなかで、トヨタは「1600万台」と他より慎重な見通しを示していました
では、ビッグ3からメーカー別動向をみてみましょう。
▽GM
・市場予想の前年同月比1.5%増より弱い6.3%減の23万157台、「シボレー」や「ビュイック」が減少をけん引。
・13年通期の新車販売台数は、7%増の278万6078台だった。
▽フォード
・市場予想の4.3%増より弱い1.7%増の21万8058台ながら、06年以来の高水準を示す。乗用車が9.3%減だった一方で、トラックが7.3%増、スポーツ多目的車(SUV)が6.4%増と補った。
・13年通期の新車販売台数は、15%増の249 万3918台となる。
▽クライスラー
・市場予想の7%増より弱い6.0%増の16万1007台と、3年半連続で前年比を上回り07年以来の高水準を遂げている。
・新型のスポーツ多目的車「チェロキー」が引き続き記録的な売れ行きをみせ48%増と全体を押し上げ。
・13年通期の新車販売台数は、9%増の180万368台だった。
日本車は、以下の通りです。
▽トヨタ(レクサスを含む)
・市場予想の3.1%増を下回る1.7%減の19 万843台。
・13年通期の新車販売台数は、7.4%増の223 万6042台となり、「レクサス」の売上が寄与。
・セダン「カムリ」 は13年に40万台に乗せ、2年連続で全米販売台数ナンバーワンを飾った。
▽ホンダ
・12月販売台数は、1.9%増の13万5255台。
・13年通期の新車販売台数は、7.2%増の152 万5312台で過去2番目の高水準を示す。
▽日産
・12月販売台数は、10.5 %増の11 万台。
・13年通期の新車販売台数は9.4%増の124 万8420 台だった。
・傘下の高級者ブランド「インフィニティ」は、3%減の11万6455台に終わった。
その他メーカーは、こうなりました。
▽フォルクスワーゲン
・12月販売台数につき22.7%減の3万4015台と4 ヵ月連続で減少。
・13年通期の販売台数も、6.9%減の40万7704台にとどまった。
▽ヒュンダイ/キア
・12月販売台数につき、2.0%減の9万6636台。
・13年通期の販売台数も、0.4%減の125万5958台となっている。
以上をみると、2013年販売動向ではビッグ3と日本車が好調だった一方で他自動車メーカー別で明暗が分かれたことがはっきり現れています。
(出所 : ibtimes.com)
高級車メーカーはというと、2013年の勝ち組に入りました。
▽メルセデス・ベンツ
・12月新車販売台数は17.3%もの増加を遂げ3万3007台と、単月ベースで過去最高を達成した。新たに投入した新型モデル「CLAクラス」が狙い通り新規顧客開拓に貢献した他、「Eクラス」や「Sクラス」のモデル・チェンジも寄与。
・13年通期の新車販売台数でも14%増の31万2534台と、こちらも過去最高を更新。
・米高級車市場にて11—12年と2年連続で首位を飾ったBMWから王座を奪取、1999年以来初の快挙
▽BMW
・12月新車販売台数は前年比ほぼ横ばいの3万7389台で、単月では首位。
・13年新車販売台数は10%増の30万9280台にとどまり、2011-12年の1位から13年は2位に陥落。
▽レクサス
・12月新車販売台数は14%増の3万4757台だった。
・13年の新車販売台数は、12%増の27万3484台で3位を維持。
▽アウディ
・12月の新車販売台数は14.6%増の1万7013台と初めて1万5000台の壁を突破し、5 ヵ月連続で過去最高を更新。
・13年通期の新車販売台数は13.5%増の15万8061台となり、4位GMの「キャデラック」や5位ホンダの「アキュラ」と差を縮め6位。
高級車市場はトップが交代しただけではなく、軒並みプラス・リターンを達成しモメンタムを謳歌していたんです。1)ペントアップ・ディマンドの高まり、2)高級車メーカー間での値引き競争激化、3)労働市場の改善、4)低金利、5)新型モデルの開発——が背景かと。何より、資産効果の恩恵を受けた中高所得者層で買い替えが盛んになったと同時に、全体的にみて買い手が快適さはもちろん質の良い乗り心地を求めたとも言えますね。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年1月6日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。