小泉マジックはツイッターでも健在か?

新田 哲史

アゴラの執筆メンバーでは、断トツにフォロワーが少ない弱小・小市民ブロガーの私。。。改めて小泉純一郎という政治家の注目度の高さを思い知らされる現象を、昨晩から見せ付けられた。


●小泉―細川の人気格差は30倍!?
これまでSNSはもちろん、ブログもやっていなかった小泉さん。とうとう今回の「現場復帰」を機にツイッターアカウントを取得した。

▼ついにお目見えした小泉さんのツイッター
140120小泉ツイッター

最初のツイートが19日午後8時37分ごろ。そこから、この原稿を書いている午前5時前までのわずか8時間余りで3万人を超えてしまったのだから、人気絶頂の芸能人並みの速度である。改めて小泉人気が政治家としては異質なのだということに気付かされる。なにより肝心の候補者である殿のほうは、1万のフォロワーを集めるのに、3日間かかっているのだから、発信力の相違を知らしめた格好だ。ま、24時間単位で単純計算すれば、30倍ほどの差になるわけですね。こんなところからも小泉人気依存という細川陣営の強みと弱みが透けて見える。で、小泉さんの記念すべき一言目は下記の通り。

第87,88,89代内閣総理大臣を務めました小泉純一郎が、Twitterを開始することになりました。公式Twitterアカウント @J_Koizumi_Japan です。どうぞよろしくお願い致します。スタッフ。

ちょっと残念なのはスタッフのツイートだったこと。僕の拙い記憶では、ご本人はパソコンをおやりにならないはずだったが、どうせ代筆だったとしても最初くらいは「本人談話」でリリースした方がインパクトがあったと思うんだけどなー。ここら辺、PRスタッフのセンスが問われるところだ。公式アカウント取得をしていて、なおかつ小泉さんのアカウントがフォローしているのは殿のアカウントのみ。大方、細川陣営のネット担当者が、Twitter社の日本法人側と調整して準備はしてきたが、小泉さんサイドとは密にやり取りしきれていないのでは、という印象を持つ。

▼一足先に開設した殿のツイッター
140120細川ツイッター

ま、元々現役時代から単独で夜の街に繰り出すことが多かった小泉さん。引退後はますます気ままに隠密行動をしているから、他の事務所の秘書やスタッフが軽々に連絡を取り合えるわけではないんだろう。実際、小泉さんの写真は出馬表明時のもので、素材がそれしかもらえていない可能性がある。そんなところからも、細川事務所と小泉さんの連携が密に出来るかどうか試金石なように感じる。

●ツイート活用2パターン
選挙戦での候補者ツイッターの使い方は大方2つに分かれる。1つは候補者自身が日頃からスマホを使いこなし、毎時間のように積極的に発信するパターン。橋下さんや蓮舫さんなんかは代表的で、日頃からバンバン呟いていればフォロワーも付いてくる(ま、ネガなレスも多いだろうけど)。自身が候補者で忙殺されていても、ファンは離れないし、注目度は高い状態で維持できる。なによりも自分自身が使いこなしているので、発言内容を即決でき、フォロワーとのやりとりをタイムリーに行える。その内容がポジにしろ、ネガにしろ、やり取りが活発化すればますます注目度は上がる。昨夏の参院選で独自のネット選挙を展開して注目を集めた緑の党の三宅洋平氏。スマホを常時携帯して、こまめに有権者とやり取りしていた。理想的なツイッター活用の事例のひとつだろう。

これに対して、スタッフ主導で全部あるいは大半のツイートをしているパターン。ネットをやらない中高年の方が後から参入した場合に多い。この場合、結構一方的な発信になりがちだ。その典型が鳩山元首相だった。谷垣さんは総裁時代から活用していたが、こちらも一方通行の発信が大半。ご本人がツイートしているのかもしれないが、双方向性を活かしきれておらず、勿体ない。しかし選挙戦中は日頃から使いこなしている候補者でも、三宅氏のようになかなか常時発信することは難しい。ただ、それだからといってツイート数が減ってしまうのはネットでのPR機会が減少する。ネットマーケティングの業界では常識的だと思うが、Facebookと比べてもツイッターの拡散・浸透力は大きい。実際、筆者もあるデータ分析会社の話から、得票行動に至った両者の差を確認して驚いたものだ。

●本人が呟けなくても工夫できる
後者のパターンに該当する候補者、特に大きな党に所属する現職は選挙活動のルーティンでこなすべきタスクが多くて、それをこなすのに必死でつぶやいている場合ではない、というのが実状だろう。そこで、本人が呟けない時間の活用法が問われる。たとえば筆者が昨年の参院選で関わった経験からのアイデアだが、候補者本人の著書などの過去の名言録からピックアップして「Bot」ツイートを機能にするのは一つの方法だろう。また今回の都知事選に際して、田母神陣営は、弱点とされる女性層への浸透を図ろうと、【たもがみ通信女子目線】と銘打ち、女性スタッフのツイートで打ち出しているのが目を引く。

▼スタッフの苦慮が伺える田母神氏のツイート
140120田母神ツイッター

さて、アカウントを取得した小泉さんと細川さん。おそらく告示後は両者のアカウントがやり取りする等して集客を図るのだろうが、両元首相が持つ「テレビ選挙の権化」ともいえるメディアパワーをツイッターでどう生かすのか注目したい。

新田 哲史
Q branch
広報コンサルタント/コラムニスト
個人ブログ