マネー誌の特集で「1億円つくる」という人気企画があります。ナゼ1億円なのか理由はわかりませんが、何となく「1億円=お金持ち」というイメージがあるからではないかと思っています。
かくいう私も以前こんなタイトルの本を出版しましたが、ロングセラーとして未だにたくさんの方にお読みいただいています。センセーショナルなタイトルとは裏腹に、内容はストイックにお金との付き合い方の基本をしっかりまとめたつもりです。早稲田大学の講座のテキストにも使っている定番本です。
お金がいくらあれば、将来安心して暮らせるかというのは、マネー業界の永遠のテーマです。結論から言えば、金額には個人差があって一概に数値化できるものではありません。
人生には想定できない事態が起こることがあります。1億円あっても3億円あっても、それだけで安心できるとは言えないのです。
むしろ考えるべきは、ストックではなくフローです。例え、資産が無かったとしても、自分にそれを上回る毎月の収入があれば、それを維持できる限り不安はありません。
100万円の資産を持っていても、毎月10万円使ってしまえば1年足らずで、資産は無くなってしまいますが、毎月10万円の収入があれば、資産ゼロであっても、ずっと生活が破綻することは無いのです。
卵を産む鶏は食べてしまえば、それで終わりですが、毎日卵を産んでもらえば、それがフローの収入になります。鶏が元気でいる限り、安定した日々の栄養源を手に入れられる。それと同じです。
お金に対する不安を無くすために必要なことは、「資産を貯めこむことではなく、継続的なお金のフローを得ること」なのです。
フローの収入が確保できれば、毎月の節約に追われることは無くなります。入ってくるお金の範囲であれば、すべてのお金を使ってしまってもまた来月同じ金額が入ってくるからです。
本当のお金持ちとは、欲しいものを値段を気にすることなく買える人だと言います。といっても、それは日常生活の些細なことです。
例えば、いちごを買う時に、1パック1000円のあまおうと700円のとちおとめを比べて、値段で決めないで好きな方を躊躇なく買える人です。300円節約できると思って、本当に欲しいものを諦めてしまうのは豊かな生活とは言えません。
恐らく、資産が1億円になっても3億円になっても、人は安心できません。安定したフローの収入があり、それが支出を上回って初めてお金の不安から解放されるのです。
金利が0.1%以下の預金にせっせとお金を積み上げても、それはほとんど「卵を産む」ことはありませんから、使ってしまったら終わりです。だから、預金者の人は貯めても貯めても、一生節約を続けるしか無いのです。そんな、人生をこれからもずっと続けていては、いつまでたっても「お金から自由になる生活」を得ることはできません。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年1月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。