中韓の反日攻勢に異なった対応を --- 長谷川 良

アゴラ

中国黒竜江省のハルビン駅で1月20日、「安重根義士記念館」が一般公開された。同記念館開設は中韓両国が反日攻勢で連携を強めてきた結果と受け取られている、しかし、両国の反日活動はけっして同一の目標を追及しているものでないことがこのほど明らかになった。


中国は25日、「新公民運動」の中心的人物、許志永氏に対して懲役4年の実刑判決を言い渡した。その根拠について、「共産党の政策が立法の根拠であり、法執行活動を指揮する」と説明している。すなわち、中国政府はいつでも共産党の政策が最優先される国であることを自ら認めたわけだ。

反日攻勢も同様だ。中国共産党政権の反日攻勢に対して反論してもあまり意味がないのだ。「宗教の自由」も保証せず、「良心の囚人」の臓器を党幹部に移植する国の反日攻勢を深刻に受け取る必要があるだろうか。人権活動を行う反体制派国民を簡単に「党の政策」に基づいて処罰できる国なのだ。

中国共産党の歴史を少し振り返れば一層理解できる。毛沢東時代に千万人以上の国民を粛正した国はどの国か。国際世論に問うべきだ。国内の歴史が血だらけなのに、他の国の歴史を批判できる資格があるのか。

安倍晋三首相の靖国神社参拝に対し、オバマ米政権は「失望した」と表明したが、中国の許志永氏の判決に対しては、米国務省サキ報道官は25日、「深い失望」と、さらに強いトーンで批判しているのだ。

英コンサルタント会社「ヘンリー&パートナーズ」は先日、昨年7月時点でビザなしで訪問できる国数の各国リストを発表した。それによると、日本は170か国(11位)、日本をテロ国家と呼んだ韓国は166か国(24位)、世界的な反日攻撃を展開している中国に至っては44カ国で世界169位だった。世界の大多数の国が中国人にビザを義務付けている。国際社会が中国共産党政権を心からは信頼していない証拠だ。

次に、韓国の反日攻勢に対してだ。韓国は日本と同様、民主国家であり、同じ価値観を共有できる余地がある。それだけに、歴史問題でも真摯に向かい合う必要があるわけだ。

安重根記念館開設でも明らかになったように、中国共産党政権は揺れ動く韓国に触手を伸ばしている時だ。韓国が反日で体制も価値観も異なる中国共産党政権に近づき、連携してきていることを憂う。日本にとって大変だからではない。韓国が中国側に利用されるだけではないかと懸念するからだ。

冷戦を目撃し、体験してきた一人として、共産党政権の戦略を甘く見てはいられない。彼らは長期的戦略で政策を履行する。選挙の洗礼を受けなければ政権が樹立できない民主国家とはスタートから異なっているのだ。 

以上、日本は中国の反日への対応に余りエネルギーを浪費せず、これまで通り可能な限り国際社会へ貢献していくべきだ。韓国の反日に対しては、日本側は忍耐をもって真摯に対応すべきだが、いうべきことはきっちと言わなければならない。いずれにしても、日本は中国と韓国の反日攻勢に対し異なった対応が要求されるのだ。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年1月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。