私もこの3月でいよいよ50代に突入です。自分では今でも、30代くらいの気分で毎日を過ごしているのですが、もうすぐ半世紀。色々なことがありました。自分の人生を振り返ってみると、公私にわたってたくさんの意思決定をしてきました。その中には、選択して良かったと思うものもありますし、明らかに失敗したと思えるものもあります。
総括すると、仕事の意思決定はうまくいったことが多いが、プライベートの意思決定は失敗が多かったという感じでしょうか。
しかし、失敗したと思えることであっても、決して無駄にはなっていないと思っています。なぜなら、失敗することによって自分を成長させることができたからです。
そもそも、失敗したことの無い人の人生なんて、本人にとってもつまらないし、魅力を感じません。
何かにチャレンジしなければ、失敗はありません。失敗している人というのは、可能性の低いものに勇気を持って挑んだということでもあるのです。最初から、臆病で腰が引けているから失敗しない。それは出来そうにないことから逃げてしまって、安全な場所にいるだけに過ぎません。
「失敗しない」のではなく「チャレンジしていない」のです。
リスクを取らない人には、リターンはありません。苦しみは無いかもしれませんが、喜びを得ることもできないのです。
日経新聞の「私の履歴書」を読んでいても、失敗を繰り返し、そこから這い上がってきた人の方が人間味を感じ、人としての器の大きさや、周囲の人へのやさしさを感じます。
昨日まで連載していた音楽家の小澤征爾氏は、かつて指揮者としてN響のオーケストラにボイコットされるという屈辱を味わっています。そこから「世界の小澤」となるまでの、不屈のチャレンジがあるからこそ、素晴らしい指揮者として大成したのです。
以前、都内のレストランでお会いしたことがありますが、周囲への気配りを欠かさない、とても気さくで人間味あふれる方でした。失敗の無い人生だったら、きっと違った人になっていたかもしれません。
もし、自分が何か失敗してしまっても、落ち込む必要はありません。人生のほとんどのことは、後から考えれば取るに足らないことなのです。失敗にクヨクヨするよりも、そんな学びの機会を得られたことに感謝して、同じ失敗を繰り返さないようにすれば、人間として成長するチャンスにすることができます。
失敗を繰り返ても、ネガティブになることはありません。そこから自分を成長させていく魅力に溢れた人になれるチャンスなのです。
「好き」の反対は「嫌い」ではなく「無関心」です。それと同じように「成功」の反対は「失敗」ではなく「何もしない」。だから「失敗しない人」には成功もないし、そもそも魅力も感じないのです。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年2月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。