残雪が残る中、結果として市場三番目に低い投票率になった戦いは下馬評通り舛添要一氏に都知事の矢が当たりました。今さらですが、一言だけコメントしたいと思います。
細川氏が敗北した理由は二つあると思います。一つは脱原発という公約が失敗に繋がったのですが、原発を止めるという訴え方を間違えた、ということかではないでしょうか? つまり、「脱」という言葉は「やっていることを止める」ということでありますので非常にネガティブに受け止めたうえでそれをどう展開し、成長させるか、というストーリーラインがなかったことが敗因であったと思っています。つまり後ろ向きのままに終わっているのです。同じことは宇都宮氏もそうだったと思います。
世の中、悪いことは無くすに越したことはありません。しかし、無くすことを訴える方法は二つあります。一つは脱原発のようにただ、止めるということを主張するやり方。もう一つは○○して原発から離脱しましょう、という解決策をあらかじめ提案し、その策を世に問うというやり方であります。極端な話、止めることは簡単なのです。スィッチを切ればよいだけです。しかし、それでは我々の生活に支障をきたすことがいろいろ出てきます。だから、解決策を提示するのではないでしょうか?
細川氏の脱原発には心情的には同意する、と思っている方は多かったと思います。一方で、では、なくなったらどうするのかという不安を取り除くことができませんでした。特に高齢者は不安なのです。基本的に変わらない安泰な生活が欲しいのです。そこが圧倒的に欠如していたと思います。
もう一つの細川氏の敗因理由は氏の人気、そしてフィーチャリング小泉純一郎は抜群の組み合わせだと買い被ったような気がします。私が東京で肌身で感じたことも踏まえれば以前、上野のパンダを見るような感じ、と書いたことがありますが、一般人にとってみれば「見てみたい」「メディアがサポートしている」ことを一定人気があるはずだ、と期待したところでしょうか? エルトン・ジョンがポール・マッカートニーと曲を出せば一位になれると思いこんだところでしょうか? 曲がよくなければ一位にはならないし、昔を知っている人は狂気乱舞するかもしれないけれど若い人には違うよね、と思われるかもしれません。
一方、舛添氏を応援した安倍首相も節操がないな、と思います。自分の立場を有利にするためには手段を選ばず、というのがありありと見て取れました。もっとも自民党としては沖縄で一敗していますので都知事選を落とせば安倍政権そのものに暗雲が立ち込めることになり、ひいては日本の経済に大きな影響を与えるところでした。
結果としてはすべて想定内でよかったと思います(最近、想定外がしばしば起きることで想定外の結果を期待する向きもあるような気がしますが、それは異常なことだということをあえて書き留めておきましょう)。重要なことは東京にしろ、日本にしろ、腰を据えて長期的なビジョンを作り上げ、階段を最後まで上がる体力、気力、そして胆力でしょうか? 東京都は3年で三回目の知事選、日本の首相はようやく安倍氏が1年2か月となり、すぐ変わる日本の首相の汚名を打ち消しそうです。期待したいと思います。
今日はこのぐらいにしておきましょう。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年2月10日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。