どうなるTPP交渉

アゴラ編集部

TPP交渉が大詰めを迎えているようです。2月22日から25日まで、シンガポールで甘利明TPP担当相を含めた閣僚級の会合が開かれている。日本はとりわけ米国との協議を進めなければ、交渉合意にまでもっていけません。参加各国も影響力の大きな日米の交渉の行方を注視している。しかし、日米の間には依然として深くてやや広い川が流れているようです。両国ともに、TPPには総論賛成だが自分に関係することはノー、という業界団体がたくさんあります。


また、日本の対外条約の場合、国会の役割は政府与党が決めてきたことの追認くらいしか権限がありません。交渉を始めるか否かも議会の承認を得る必要はない。しかし、米国の議会と国会議員は、かなり強力な権限を持っています。議会の承認がなければ外交交渉を始めることはできません。さらに、政権与党の議員だからといって政府の方針に従うとは限らない。支持母体の意向により、政府にも強く異を唱える与党議員もいます。

その米国議会では、TPPの妥結について民主党、共和党を問わず、肯定派と否定派が拮抗しているようです。例外なき関税撤廃を目指すのがTPPなんだが、参加国間では、その「例外」を取り決める綱引きが行われています。日本は米、麦、牛豚肉など農産物を例外にしたいと主張し、米国では自動車産業などの業界団体が国会議員へ圧力をかけ、その議会に足を取られた政府があくまで関税撤廃という強硬姿勢をみせつつ交渉の余地を探っている、という状況です。

そんな矢先、2月22日に米国議会の調査局が、TPPの交渉が失敗すれば日米の関係は後退するだろう、という報告を発表しました。いわゆる「アベノミクス」が失速しつつある中、これでTPPもダメとなると、日本経済におよぼす影響は少なくないでしょう。甘利TPP担当相は、譲歩して妥協する可能性も示唆しているんだが、例外5品目のどれかを外すかもしれません。

しかし、どの業界も納得できるはずもない。それは米国の議会も同じでしょう。得てしてこうした外交交渉では、マスメディアの先走った記事が反対世論を形成し、外交団の足を引っ張ったりします。甘利TPP担当相には、おかしな妥協をしてもらいたくはありませんし、メディアも慎重な報道に徹して欲しい。いずれにせよ、協議が難航する中、高度な駆け引きが求められています。

治大国若烹小鮮 ─ おがた林太郎ブログ
大筋合意、そしてアーリーハーベスト


ダイソンが人間と同じように考え見ることのできるロボット製造を目指すことが判明
Gigazine
この企業、名前から韓国系かな、と思ってる人が意外に多いようです。ひところ「リーボック」という靴が韓国系、という笑い話があったんだが、どうして韓国系かと言えば「リーさん、ボクさん」だからだ、というわけで、韓国製品が安かろう悪かろうだった時代のジョークです。言うまでもなくダイソンは英国の企業で、サイクロン掃除機が有名。家電製品はまだまだイノベーションの余地が残っているようで、個人的には洗って乾燥させるだけではなく、畳んでしまうまでしてくれる洗濯機がほしい。掃除機にしても、階段や段差を乗り越え、テーブルや椅子をどかし、終わったら自分で吸塵したゴミを捨ててくれるようなものができないか。もうこなってくると、ヒューマノイドロボットの世界でしょうか。ダイソンはそんな掃除ロボットを開発するようです。

生活保護受給者の自殺率(2010年)
データえっせい
人間の人生というのは、遺伝子を含めて生まれ育った環境に大きく左右され、けっして努力だけでは報われないことが多いわけです。もちろん、怠惰で無気力な人間を過度に救済することもないんだが、弱者に寄り添う、いわゆるセーフティネットがない国家はいずれ大きな矛盾におおわれ、破たんすることになる。このブログでは、多種多様なデータなどから統計的に事象を眺めています。生活保護受給者は若年層の自殺が多いらしい。タフでなければ生きられない、優しくなければ生きている資格がない。しかし現実世界は、タフなら優しくなれず、優しければタフにはなれません。

Child porn operation raided in Philippine school
PHYS.ORG
フィリピンで私立学校の経営者らが逮捕されたんだが、彼らはなんと児童ポルノを作っていた、という記事です。当局捜査機関から逃れるため、海外向けのサイトを米国のテネシー州で運営し、フィリピン国内からはアクセスできないようにしていたらしい。国際的な犯罪グループの姿が浮かび上がってくるんだが、今回の逮捕劇では米国人の関係者は捕まっていません。自分の学校の生徒を使っていたかどうかは不明ながら、学童を虐待していた疑いがあるとのこと。ネットを使えば、貧困国から児童ポルノを世界中に配信できる時代です。

福神漬けと紅ショウガの危険な赤色。合成着色料「タール色素」の恐怖
ビーカイブ
最近の付け合わせの福神漬けは、真っ赤なものは少なくなっているようです。しかし、いまだに牛丼チェーン店などの紅ショウガの色は毒々しい。甘味料や着色料、保存剤、増粘剤、調味料など、口に入る人工合成の添加物は数多い。同じ値段のお菓子があったら、やはり見栄えが良くて美味しいと感じるもののほうが売れます。冴えない色で味もパッとしない商品は、いずれは淘汰されてなくなってしまうでしょう。我々の視覚や味覚が試されているとも言えるんだが、行政は必ずしも国民のために存在しているわけではないので気をつけましょう。


アゴラ編集部:石田 雅彦