米連邦公開市場委員会(FOMC)恒例、CNBCのFedサーベイ3月版をお伝えします。
2015年の金融政策見通しは、ウクライナ情勢不安やシャドー・バンキング問題もなんのその。「2015年に利上げを行う」との回答が60%と半数以上を占め、「2016年まで待つ」との回答40%を上回ったんです。
足元4.1兆ドルに膨れ上がったバランスシートにつき59%が「維持する」と予想した一方で、償還に伴う自然減少と売却のいずれかで「縮小させる」と回答は39%に達しました。2015年で、平均1080億ドルの縮小を見込んでいます。2014年分は、前回1月時点の4666億ドルから減少の4080億ドルでした。
量的緩和(QE)という名の饗宴から、ようやく引き揚げる心積もりができたのでしょうか。世界景気に暗雲が立ち込めるなかで、割りと楽観的な見方なんですね。米国指標も米2月住宅着工件数が3ヵ月連続で減少したほか、米1月ISM製造業景況指数など製造業関連指標も伸び悩みますが、お構いなし。米2月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)が悪天候の影響を色濃く残しながら堅調な伸びだったので、金融政策が正常化するシナリオを描いているマーケッ参加者が優勢となっています。
翻って現状の金融政策動向について、「追加で100億ドルのテーパリングを行う」との予想は98%でした。調査対象の40人中、実に1人だけだったんです。
「会合ごとに資産買入を100億ドルずつ縮小する」との予想は81%と、前回1月の72%から上昇しました。「会合ごとに100億ドルを継続すべき」との回答は、過半数を超えて59%。「拡大すべき」との回答は27%で、「縮小すべき」との回答10%を上回っています。
フォワード・ガイダンスについて、95%が失業率の数値目標6.5%を取り下げると予想しています。そのうち50%が数値目標自体を断念すると回答。一方で5分の1は失業率の数値目標を引き下げるとのシナリオを維持し、平均で「5.6%」への修正を見据えています。
成長見通しは、楽観スタンスを維持。1~2月に大寒波と豪雪に見舞われたものの、2014年は2.8%と2013年の2.3%から改善を織り込んでいました。2015年は3.0%と、さらに拡大する見通しです。
金融政策に対しては、楽観的な見方優勢。ハト、タカいずれかに傾くリスクは「低い」との回答は40%に達し、バーナンキ前FRB議長が最後に登板した1月時点の35%から上昇していいます。「タカ派寄り」との回答は1月分を下回る25%だった半面、「ハト派寄り」との回答は逆に1月分を上回り33%でした。
2月の議会証言を経て、イエレン体制への信頼度は増した感があります。
第1弾の利上げを2015年と予想するせいか、金融政策が後手に回るリスクを見込む声がやや強まった程度に過ぎません。米株相場とイエレンFRB議長の蜜月関係で分かるように、ウォールストリートはイエレン体制を迎え大船に乗ったつもりでいるかのようですね。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年3月18日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。