ウィーンの国連薬物犯罪事務所(UNODC)本部で開催された麻薬委員会(CND)第57回会期で中国国家禁毒委員会(NNCC)が提出した同国2014年版の「年次麻薬統制報告書」(全60頁)を入手したので、その一部を紹介する。
昨年の麻薬乱用者数は約247万5000人だ。その内、アヘン乱用者数は135万8000人、合成麻薬の乱用者数は108万4000人だ。麻薬乱用者総数では前者が54・9%。後者が43・8%を占めている。
また、36万5000人は不法麻薬摂取で初めて取り締まりを受けた(初犯者)。68万2000人は麻薬常習者、24万2000人以上は麻薬法違反として処罰や療法を受け、18万4000人は麻薬治療を受けた。
中国で目下深刻な問題は合成麻薬の拡大だ。同国公安部当局は合成麻薬の拡大を阻止するため特別活動を展開し、合成麻薬の乱用者の監視を強めている。
18万3000人が合成麻薬の常習者であり、12万4000人は合成麻薬摂取の初心者だ。それぞれ、前年比で51・25、47・7%急増した。
中国の公安部によると、昨年麻薬犯罪関連件数は15万0943件、16万8296人を麻薬関連法で逮捕した。前年比で件数23・89%、逮捕者26・75%、それぞれ急増した。
麻薬押収量では、ヘロイン8・55トン、アヘン1・46トン、メタンフェタミン類19・52トン、大麻草4・50トン、ケタミン(Ketamine)9・69トンだった。
NNCCは学校内の麻薬拡大を阻止するため学校内で麻薬問題の啓蒙活動を強化しているところをみると、学校内の麻薬乱用が広がっているのだろう。また、麻薬常習者の治療のためのワークショップなどを中国全土で開催している。
その一方、中国側は麻薬対策を強化するため隣国周辺諸国、ベトナム、ミャンマー、ラオス、イランなどと麻薬犯罪対策で連携を進めている。
ちなみに、北朝鮮産の麻薬類が中国に大量に流れ込んでいる。北朝鮮専門メディア「デイリーNK」が1月報じたところによると、「北朝鮮産の麻薬類は安くて品質もいいため、中国でも人気がある」という。
編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年3月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。