昨年から、日本薬学会は、8年制薬剤師を提唱している。
4年制は研究者養成コース、6年制は薬剤師養成コースという建前になっている。4年制薬学部卒だと、薬剤師にはなれない。しかし、経過措置として、4年制薬学部卒でも、修士2年を修了し、かつ、「補充教育」を2年履修すると、国家試験受験資格が付与され、薬剤師になることができる。
学部4年+修士2年+補充教育2年 = 8年
8年制薬剤師である。
日本薬学会会頭柴崎正勝氏は、経過措置でしかなかったこのコースを、今後も継続したいと主張している。
http://magplus.jiho.jp/magplusplus/report/id/364
http://www.pharm.or.jp/whats/kaito.html
理由は、以下である。
1.6年制化により、大学院進学者が激減しているので、薬学会会員の減少が予想される。研究水準が低下する。
2.卒業後に何の資格も得られないでは、4年制薬学部は入学者を確保できない。少なくとも、他の理系学部(理工農)との間で優位に立てない
3.研究能力がある薬剤師が必要とされている
どれも論外だが、3は特にひどい。現在ですら、薬剤師教育は、仕事内容と比較して過剰である。教育しすぎだ。薬剤師の養成には、6年どころか4年もいらない。薬剤師は、薬局のカウンターで薬を渡しているだけなのだ。まして、大学院卒の8年制薬剤師でなければできない仕事など存在しない。
そもそも、資格と無関係な研究者養成コースである4年制薬学部が入学者の確保に苦労したり、学生の就職に不安が出ているのは、薬学部の教育研究活動に市場価値がないからだ。修士課程を義務化して、半強制的に会員を確保しなくてはならないのは、日本薬学会がその程度の学会でしかないからだ。
4年制薬学部と日本薬学会は、教育研究水準を向上させることをもって、入学者募集と薬学会会員の増加を計るべきだ。
国家資格に頼らなければ維持できないのなら、そんな大学や学会はいらない。逝ってよしである。