ワシントンDCに本部を置くシンクタンク、「ビュー・リサーチセンター」(Pew Research Center)が4月4日、社会の宗教的多様性に関する調査結果を公表した。それによると、アジアが最も宗教的多様性のある地域であることが判明した。
センターが実施した調査方法をまず説明する。
世界の宗教を8種類に分ける。キリスト教、ユダヤ教、仏教、イスラム教、ヒンズー教、伝統的民族宗教、非宗教グループ(無神論者、不可知論者など)、そして他宗教だ。
(2010年の世界宗教の割合は、キリスト教31・5%、イスラム教23・2%、ヒンズー教15・0%、仏教7・1%、民族宗教5・9%、他宗教0・8%、ユダヤ教0・2%、無宗教16・3%)
次に、8グループがどのような関係で存在するかを調査する。満点を10点とし、7点から10点の場合、その国は「多様性が非常に高い」と評価。そして「高い」(5・3~6・9点)、「普通」(3・1~5・2点)、最後に、それ以下を「(多様性)低い」と4評価(多様性Index)を下していく(調査データーは2010年を土台)。
その結果、第1カテゴリーの「多様性が非常に高い国」は12か国、そのうち、アジアからシンガポール、台湾、ベトナム、韓国、中国、香港の6か国・地域が入っている。そしてサブサハラアフリカ地域の5カ国、そして南米1カ国だ。欧州、中東・北アフリカの国は第1カテゴリーに入る国はない。
欧州や中東・北アフリカ地域では一つの宗教が支配的で他宗派の存在が薄く、多様性に欠けているからだ。例えば、欧州ではキリスト教、中東・北アフリカではイスラム教がほぼ全域を支配している。
調査対象232か国で最もIndexが高かったのはシンガポールだ。同国では、キリスト教18%、イスラム教14%、無宗教16%、ヒンズー教5%、仏教34%、民族宗教2%、他宗教10%、ユダヤ教1%以下だ。逆に、多様性の「低い」国として、イランの場合、99%がイスラム教徒だ、他宗派はいずれも1%以下だ、といった具合だ。
最後に、日本の場合だ。得点は6・2点で「多様性が高い」分類に入る。その詳細は、キリスト教1・6%、イスラム教0・2%、無宗教57%、ヒンズー教0・1%以下、仏教36・2%、民族宗教0・4%、他宗教4・7%、ユダヤ教0・1%以下だ。
興味深い点は、「無宗教」のカテゴリーでは、チェコ76・4%、北朝鮮71・3%、エストニア59・6%に次いで日本が多いことだ。日本は世界232カ国中、第4番目の「無宗教の国家」だ。共産党政権下の中国ですら無宗教は52・2%だ。日本人は中国人以上に宗教を持たない国民ということになる。
それでは、東日本大震災の際、外国人も驚かせた日本人の規律よさ、相互助け合い精神はどこから由来するのか。社会学者の大きなテーマだろう。
編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年4月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。