4人のローマ法王と「列聖式」 --- 長谷川 良

アゴラ

復活祭を終えて一息つく間もなくくローマ・カトリック教会は4月27日、ヨハネ23世とヨハネ・パウロ2世の列聖式を挙行する。2人のローマ法王の列聖式には数百万人の信者たちがサンピエトロ広場に集まると予想されている。ヨハネ・パウロ2世の母国、ポーランドからだけでも50万人の信者たちがローマ入りするといわれている。


▲ヨハネ23世の生家(2013年9月26日、ソット・イル・モンテにて撮影 )


バチカン専門家のアンドレアス・エングリュシュ氏はオーストリア日刊紙クリア(20日付)とのインタビューの中で、「列聖式にはフランシスコ法王と退位したべネディクト16世が同席し、2人のローマ法王(ヨハネ23世、ヨハネ・パウロ2世)の列聖式を行う。教会歴史ではこれまでなかった歴史的出来事だ」と答えている。

ヨハネ23世(在位1958年10月~63年6月)はカトリック教会の近代化を決定した第2バチカン公会議第(1962~65年)の提唱者であり、信者たちから最も愛される法王として有名だ。

同23世が第2バチカン公会議開催を決めた時、公会議開催には長い準備期間が必要と受け取られていたので、教会内外で驚きをもって受け取られた。ヨハネ23世は後日、第2公会議開催は「神の声に従っただけだ」と述べている。

ヨハネ・パウロ2世(在位1978~2005年4月)は“空飛ぶ法王”と呼ばれ、世界を司牧訪問し、冷戦時代の終焉に貢献したことはまだ記憶に新しい。同2世の場合、死後9年で聖人に列挙されるという異例の早やさだ。

ローマ・カトリック教会では「聖人」の前段階に「福者」というランクがある。そして「列福」と「列聖」入りするためには、当人が関与した奇跡が証明されなければならない。

ヨハネ・パウロ2世の場合、2011年5月、列福されたが、バチカンの奇跡調査委員会はフランスのマリー・サイモン・ピエール修道女の奇跡を公認している。彼女は01年以来、ヨハネ・パウロ2世と同様、パーキンソン症候で手や体の震えに悩まされてきたが、05年6月2日夜、亡くなった同2世のことを考えながら祈っていると、「説明できない理由から、手の震えなどが瞬間に癒された」というのだ。「列聖」入りのためのもう一つの奇跡は、コスタリカの女性の病気回復が公認された経緯がある。

ヨハネ23世の場合、フランシスコ法王が列聖のための奇跡調査を免除している。

ちなみに、フランシスコ法王とヨハネ23世は風貌もよく似ている。ヨハネ23世が法王に選出された時、既に76歳だった。フランシスコ法王も76歳で選出された。ヨハネ23世は素朴で笑顔を絶やさず、ユーモアと親しみで当時、信者たちを魅了させた。フランシスコ法王の言動も同じように、世界で新鮮な感動を与えている、といった具合だ。

今回の列聖式は、フランシスコ現法王が主導し、前法王べネディクト16世が同席する。すなわち、4人の法王が列聖式に関わるわけだ。過去の列聖式では見られなかった豪華キャストによる式典となるわけだ。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年4月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。