太陽光発電が「エコ」っていうのはそろそろ止めた方がいいんじゃないかと --- うさみ のりや

アゴラ

ソフトバンクが経産省の運用変更を契機に頓挫しかけている太陽光発電計画を権利ごと大量に買上げることを予定しているみたいです。それ自体は一企業の経済行動であり、全然問題ないのですが、それをさも「太陽光発電の芽を摘まない」というような美談じたてしている記事を散見しました。他にも太陽光発電を美談に仕立て上げたがる人は左翼がかったコメンテーターに多いですよね。


http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1404/14/news006.html

太陽光発電事業というのは国の政策でもって「確実に儲かるように制度設計されている」のですから、そうした事業に投資することに良いも悪い無いと思うのですよ。ましてや税制上の恩典まであるのですから。上の例ではソフトバンクとしては電力市場の自由化を見越して儲かって節税効果のある事業を進めているだけの話です。原発であろうと火力発電であろうと太陽光発電であろうと作ってるのは同じ電気ですしね。

電力分野でこうした事業上の話に倫理的な切り口を入れこむ背景には「原発の対極にある太陽光はエコなもの」という強烈な意識が見え隠れするのですが、太陽光発電を増やせば増やす程、調整電源としての火力発電を増やさなきゃいけなくなるわけで、物事をトータルに考えれば別に太陽光発電をふやすことってエコでも何でもないと思うんですよ。むしろ電力システム全体を見ればCO2の排出は増える方向に行きますよね。京都議定書から離脱して、温室効果ガスの削減もままならず、2005年比3.8%減という寝ぼけた目標を立てている日本はいかに太陽光発電を増やそうが間違いなく「世界のエコ落第生」です。誤解ないように言っておきますと私は決して「太陽光発電が悪い」と言っているわけではありません。ただ太陽光発電の本質的な付加的価値はエコであることではなく「分散電源であること」と「発電に追加的な資源を必要としないこと」にあると思っているだけです。これは風力も水力も一緒の話。

京都議定書

(経産省HPより)

こうした業界人なら誰でも持っているようなトータルの視点って今の報道番組では伝えられないわけで、それだけ国民判断も歪んでしまうことになるのではないかと最近危惧しています。古賀茂明氏とか金子勝氏とか河野太郎氏とか一部の評論家や政治家の偏った視点がメディアを通して増幅されて、誤った認識が形作られてしまうことで最終的に損するのは国民だと思うんですけどね。。。。もしかして嘘でも良いから彼らが語るような夢を見たいのは視聴者の側なのかもしれませんが。 鶏が先か卵が先かよく分からないな~。

ではでは今回はこの辺で。


編集部より:このブログは「うさみのりやのブログ」2014年4月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はうさみのりやのブログをご覧ください。