在特会がアドルフ・ヒトラー生誕125周年記念パーティを開催すると言う噂がある。ご苦労なこっちゃ。善悪は別として、会の目的は在日韓国朝鮮人の「特権」を剥奪することのはずや。相手は何万人もおる。多勢に無勢。道半ばという状況ですらない。そういう忙しいときに、無関係なドイツ人のお誕生会。エライ余裕でんなぁ。
同じような話。浦和レッズのサポーターが「Japanese Only」の横断幕を掲示して、揉めたあげく日本のサッカー史上初の無観客試合や。まあ、野球では、秋の甲子園なんかで「ほぼ無観客試合」は昔からあったがな。
不思議なことに、この話、どこを調べても動機がはっきりせん。一応、報道では、「外国人が増えて応援の統制が取れなくなっている。聖地を荒らされた」という話になっているが、本当にそんな事実があったんやろか。サポのリーダーが、応援席に現れる人間の国籍を、いちいち峻別できるんやろか。
チケット販売上、サポーター席に一般人が紛れ込むことはある。そういう場合。わしも経験があるが、スタンドの端の方で小さくなっる。そうでもせんと、旗やら横断幕やらでゲームが見えないからや。こういのが応援の統制を乱すと考えられんこともないけど、浦和のサポーター席の残券が大量にあるとも思えん。ましてや、そこへ外国人が大量に来ているとは考えられん。
では、赤ずくめ組の方に外国人が紛れ込んでいたのか。だとしたら、わざわざ来ているそいつらは、下手な日本人より、よっぽど気合いの入った連中や。特にアジア系ならACL行ったときの貴重な戦力や。大事にせんかい。もし、それでもなお言葉の問題かなんかで応援の統制が崩れるなら、外国人パワーの無駄遣い。こんなことまで、ピッチの中の真似をせんでもええがな。
だいたい、この程度の理由で、決して安くはなさそうな巨大な横断幕を自前で作るやつが、ほんまにおるんかいな。レッズやJが、何で、徹底的に事実関係を調査せんのかがわからん。本音レベルでの動機がわからん状況で、いくら処分をしても、本当に再発防止につながるか心許ない。
FIFAの手前、「うちは人種差別には厳しい」という顔さえできればええ、という問題でもなかろう。ごくごく一部のサポの為に、全く関係のない人間、(たとえば浦和在住のエスパルズのサポーター)にまで多大な迷惑がいくこういう処分を、敢えてするだけの意味があるんやろか。
ちなみに、高校野球なんかの連帯責任文化に嫌気がさしているスポーツファンが、サッカーに流れてきているということを、Jの連中は忘れんほうがええやろ。楽しみにしていたゲームが、無観客試合になったのがきっかけでサッカーから離れる子供、世界的にも少なくないと思うがのう。FIFAで流行っているからと言って、セキュリテイー以外の理由での無観客試合は、やめたほうがええやろ。
話がそれたな。結局「Japanese Only」は、「俺たちは、こんなヤバイことも出来るんだぜ」という、単なる見せびらかしやという気がする。処分する方にも「俺たちは、こんなヤバイ処分も出来るんだぜ」という高揚感が全くなかったとも思えん。在特会が、ヒトラーを持ち出すのと同じメンタリティーやがな。
だとしたら、無観客試合という派手な処理をしたJリーグの裁定は短慮やったと思う。横断幕の連中が浦和に戻ってくることはないかも知れんが、そのかわり「日本初の無観客試合をもたらしたヤツ」という大きな勲章を手にした。
「オレも若い時は無茶をしてなぁ……」と、反省まじり武勇伝を自分の子供に聞かせるぐらいならカワイイもんやけど、ヘイトスピーチの破壊力に妙な自信をつけられたら、たまったもんではない。同じ理由で、在特会の「お誕生会問題」も、非難と抗議ではなく軽蔑と無視で対処すべきやと思う。
嫌悪されることだけが目的の行動を嫌がらせという。意外な話かも知れんが、従軍慰安婦像の(レプリカの?)、米国での設置という話にも同じ構造がある。この件、最大の被害者は、醜悪で意味不明な物体を公園に設置されたグレンデール市民やろ。60年以上も前に別の大陸でおこった東洋人どうしの売買春(強制性があろうが無かろうが、慰安婦は全員が報酬を受け取ったはず)がらみのトラブルを、いまさら持ち込まれても知らんがな。
これに対する日本外務省の対応は、これはこれで最悪やった。像を撤去せよと言い出した。「嫌がらせ」に対して「嫌がってみせて」どうする。さらにまずいことに、表現の自由に対する攻撃という問題に引きずり込まれた。設置者の意図にまんまと嵌まっておるがな。
「表現の自由という価値観を日韓米が共有できることに、日本国として敬意を払いたい。しかしながら、あの像のプレートに書かれている「歴史的な記述」には同意できない。」とでも言っておいて、あとは放っておけばよかった。
それやと、「間違った伝説」が定着化するって? ……心配いらん。公園で遊んでいる人の中で、彫像のプレートをいちいち読むやつが何人おる。ましてや、覚えているやつがおるか。反論をするのは、メディアに出てきた時だけでええ。メリハリをきかさないと、議論に説得力がなくなる。
正しい無視ができていたら、像のプレートの内容で日本人が非難される度合いより(何せ半世紀以上前の話でっせ)、訳の分からん韓国人が不気味がられる度合いの方が、はるかに大きかったはずや。
大事なのは、「東洋人は目くそ鼻くそ」と思わんように最大の注意をはらうって、ひとり相撲やなくて「ひとりシムル」をとってもらうことや。感情的で派手な抗議は逆効果や。像のメッセージに一定の説得力がやどってしまう。
確かに、嫌がらせに対する対応は難しい、無視すれば相手の言いたい放題やし、相手をすれば騒ぎが大きくなる。そやけど、それだけにこういう時にこそ、個人にしろ国にしろ、器の大きさや品格が丸出しになるんやと思う。
今日はこれぐらいにしといたるわ。
帰ってきたサイエンティスト
山城 良雄